誰もが夢見るものの、なかなか現実にならない“夢の馬券生活”。「JRA重賞年鑑」で毎年執筆し、競馬を題材とした作品も発表している作家・須藤靖貴氏。今回は、2015年からJRAで活躍するフランスからの騎手クリストフ・ルメールの強さと人気、馬券の関係についてお届けする。
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馬券初心者へのアドバイスで秀抜なのが「カタカナの騎手を買え」。外国人騎手は人気馬にまたがる。情報あふれる中、的を射た指摘なのだった。
ほぼC・ルメールである。日本競馬は彼を中心に回る。麻雀役でいえば平和(ピンフ)か。たいていの上がり役に絡むし。でも配当は安い。人気高騰で配当妙味は期待薄となってしまう。このジレンマをどうするか、という話である。ルメールを絡めて高配当を狙うのか、きっぱり外すのか。
まず、凄みのファクトをさらっと。2017年から4年連続でJRA最多勝利、優秀騎手賞1位。確かな技術で勝ち切るから馬主さんは自馬に彼を乗せたがる。その期待に見事に応える。ますますオファーがくる。偉大なる記録はその累積だろう。
フィジカルもメンタルも凄い。腕力と下半身のパワー(足の長さが重要だとか)に加え、柔らかな手綱との緩急。そして引き出しの多さと勝負所を逃さない感性。さらに実に勉強熱心だという。騎乗馬の特徴はもちろん、相手関係の情報も頭に叩きこんでレースに臨む。資質も経験もある優等生が勤勉なんだから、結果も出るってもんです。
さらに最近のデータを。2020年1月から今年5月2日まで(JRA-VAN TARGET使用)。1067レースのうち1着272、2着185、3着113。騎乗馬の人気に注目すると1番人気(以下「1人」)547回、2人265回、3人137回。実に89%が3人以内だった。
ただし単勝回収率は72円。1人のときも同じく72円。圧倒的人気は諸刃の剣でもある。
「おや?」と思う。単勝回収率を人気別に見てみると、2人は78円だが3人は68円。ちなみに最も良いのが5人の98円(わずか42回騎乗)。3人のみ、やや回収率が低いのだった。
この点、競馬ライターの東田和美氏も「ルメールが乗るから3番人気になる」と指摘。鞍上が人気を吊りあげる。調教師の先生も「鞍上に期待」などと公言しちゃっている。1人と2人は絶対評価っぽいが、ルメールの3人に限っては相対的なものもありそう。それは馬柱を見れば分かる。