阿部寛(56才)が主演を務める日曜劇場『ドラゴン桜』(TBS系)。阿部演じる主人公・桜木の“名言”が毎話炸裂し、放送開始早々から評判は上々だ。本作には若手俳優も多く出演しているが、その中でも特に注目を集めているのが、傲慢で嫌味な生徒・藤井遼役を演じている鈴鹿央士(21才)だ。SNSなどには「藤井の演技がエグすぎる」、「藤井の性根を叩き直してほしい」といった視聴者の声で溢れている。鈴鹿が視聴者を引き付ける理由について、映画や演劇に詳しいライターの折田侑駿さんが解説する。
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2005年の前作では最終回の視聴率が20%超えの大ヒットとなり、それだけに早くから注目が集まっていた今回の続編『ドラゴン桜』。落ちこぼれ高校生たちが難関大学・東大を目指し、奮闘していく学園ドラマだ。SNSでは、「桜木先生の言葉が刺さる」、「受験生に限らず、大人が観ても学びがある」といった言葉が並び、これには筆者も同感。桜木の言葉を受けて自身の問題に向き合っていく高校生たちに、自分を重ねてしまっているほどである。
本作は、映画化もされた『アルキメデスの大戦』(講談社)を連載中である漫画家・三田紀房(63才)による『ドラゴン桜2』(講談社)を原作に、ドラマならではオリジナル要素を加えたもの。2005年の前作に続き、主人公の桜木役として阿部が登場しているほか、長澤まさみ(33才)も続投している。長澤といえば前作では東大を目指す高校生役の一人を演じており、今作では東大卒の弁護士として再登場。彼女が桜木の右腕となり、“後輩”たちの導き手となっている。
舞台となるのは、偏差値32で経営破綻寸前の高校・龍海学園。ここへ、かつて落ちこぼれだった龍山高校から東大合格者を輩出し、“学校再建のエキスパート”である元暴走族の弁護士・桜木(阿部)がやってくる。桜木は、龍海学園の再建を請け負うため呼ばれるが、自由な校風を理想とし、進学校化に反対する理事長と対立することになる。そんな中、桜木と水野(長澤)が受け持つ「東大専科」に、それぞれに問題を抱えた生徒たちが集合。東大受験に向けた戦いの火蓋が切られることになる。
前作に引き続き、今作も若手俳優の注目株が勢揃い。メインキャストとなる東大専科の生徒役には、King & Princeの高橋海人(22才)、アイドルから俳優へと見事な転身を果たした平手友梨奈(19才)、映画界で確かなキャリアを築き上げてきた南沙良(18才)、年齢と芸歴がほとんどイコールである加藤清史郎(19才)らが配されている。いずれも俳優としての“これから”を嘱望されている存在だ。だが、若手出演者の中でも最も目が離せないのが、彼らと敵対関係にある生徒を演じる鈴鹿央士(21才)だ。
男性向けファッション誌「MEN’S NON-NO」の専属モデルも務める鈴鹿は、広瀬すず(22才)との出会いによって芸能の道に進むことになったことは知られているだろうか。広瀬が主演の映画にエキストラとして参加した際に、彼女の目に留まったのだという。鈴鹿はその後、映画『蜜蜂と遠雷』(2019年)で俳優デビューを果たし、以降、朝ドラ出演や連続ドラマの主演など、破竹の勢いで突き進んできた。
“超大型新人”と鳴り物入りでデビューしたわけだが、これまでの短いながらも豊富なキャリアを振り返れば、その称号が偽りでないことが分かるはず。しかしこれは、新人俳優だけが持つ“瑞々しさ(フレッシュさ)”があってこそであるのも事実。役を演じること以上に、鈴鹿本人の持つ“素の魅力”が求められてきたのではないかと思う。