コロナ禍のテレワーク普及により、新築マンション市場のトレンドが変わりつつある。これまでは価格も手頃な“狭小マンション”が多く販売されてきたが、コロナ後は「広さと部屋数」を増やした“広大マンション”があちこちに建設されている。果たしてどこまで需要があるのだろうか。住宅ジャーナリストの榊淳司氏がレポートする。
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新築マンション市場に新たなトレンドが生まれている。コロナ禍によって商品企画の傾向に変化が生じたのだ。「広さと部屋数」を増やすという流れが顕著に表れ始めたのだ。
コロナ禍によって度々発出された緊急事態宣言は、人々の働き方に微妙な変化をもたらした。「自宅でできる仕事はなるべく自宅で」というテレワークが一気に普及したのだ。これによって、多くの人々にとって自宅は「寝に帰る場所」というより「仕事場」になってしまった。
場合によっては、一日の内のほとんどを自宅で過ごさなければならない。そうなると、今まで気づかなかったことにも気づかされる。
例えば、仕事をする場所がない。リビングのダイニングテーブルを一日中使うわけにもいかない。リビングには他の家族がいる場合も多く、リモートでの打ち合わせや会議には向かない。また単身者でもワンルームマンションのような狭い空間に一日中閉じこもっていると、かなりの閉塞感に見舞われる。
そんな人々にとって、根本的な解決策は引っ越しであった。新しく探す住まいは、今よりも「もう一部屋」、そして「もっと広く」というニーズを満たす条件でなければならない。