5月30日、巨人が4対3で勝ち、オープン戦、交流戦、日本シリーズと続いていたソフトバンク戦の連敗を14でストップさせた。この日は、初回に新外国人スモークの先制2点タイムリーが生まれ、同点の5回には4番の岡本和真が勝ち越しソロ。8回にはスモークの1発も飛び出し、7投手のリレーで辛くも逃げ切った。
28日からのソフトバンクとの3連戦で巨人は10得点を挙げたが、生え抜き選手の挙げた打点は岡本和真のソロホームランのみ。新外国人のスモークが3打点、西武、オリックスとパ・リーグ経験者の中島宏之が2打点、昨年6月に楽天から移籍してきたウィーラーが2打点だった(残りの2得点は相手の失策絡み)。つまり、8打点中7打点は“移籍組”の選手から生まれたものだ。連敗を脱した5月30日のスタメンの生え抜き選手は先発投手の戸郷翔征、吉川尚輝、岡本、松原聖弥の4人だけ。1番に抜擢されて2安打の石川慎吾は日本ハム出身、マスクを被って好リードの炭谷銀仁朗は西武出身だった。プロ野球担当記者が話す。
「苦手チームに勝つ時は、今までの連敗と縁の薄い選手が活躍するもの。振り返れば巨人は1990年に西武に日本シリーズで4連敗し、前後のオープン戦でも全く勝てない時期がありました。いわゆる西武コンプレックスを吹き飛ばしたのは、その頃を知らない選手たちでした」(以下同)
巨人は1988年4月3日の12球団トーナメントの決勝でガリクソン-鹿取義隆の完封リレーで西武に4対0で勝利したのを最後に、1989年から1992年までオープン戦、日本シリーズ含め、14連敗を喫していた。奇しくも、今回の対ソフトバンクの連敗数と同じ数だった。
オープン戦では1989年から2年連続で2敗ずつ、4試合とも1得点の貧打に泣き、1990年の日本シリーズでは完封負け2つの4タテを食らう。選手会長の岡崎郁が「野球観が変わった」というほどの衝撃だった。巨人は完全に西武に苦手意識を持ったのか、その後2年間のオープン戦でも6戦全敗と負け続けた。