中国の地方都市の町村レベルでは、豪華な結婚式や葬式などの冠婚葬祭を禁止する中央政府の動きが波及、1人1人の食事の金額を定めるなど細かい規則が法制化され、徹底的な倹約が図られている。また、全国人民代表大会(全人代=国会に相当)常務委員会は5月下旬、レストランなどで多くの料理を頼んでおきながら、食べ残した客に罰金を科す、いわゆる「食べ残し禁止法」を可決した。この法律では大食い動画の配信にも罰金を科す条項も含まれている。
あまりの規制の多さに、ネット上では「倹約を強制する政府や党はあまりにも押しつけがましい。人間らしい生活も大切だ」などとの不満の声も出ている。湖南省の日刊紙「瀟湘晨報」などが報じた。
中国の習近平指導部は2012年に発足後、腐敗一掃を目指した「ぜいたく禁止令」を通達し、中国共産党・政府幹部は結婚式や葬式などを豪華にしないなどの自粛を強いられている。すでに、このような動きが地方の町村レベルにまで拡大しており、ベトナムと国境を接する雲南省富寧県(人口約40万人)では「冠婚葬祭で趣味の悪い行動、無駄遣いが横行し、伝統的な意味を損なっている」として、細かい規定を通達した。
具体的には、結婚披露宴では招待客は最大200人、円卓は20卓までで、酒類を含む食事代金は1人当たり50元(約860円)以下、自宅での宴会の場合は1卓当たり300元(約5000円)以下、祝儀は200元(約3400円)以下となっている。葬儀でも故人の死後、3日間以内に行い、香典は200元以下などとしている。
しかも、結婚式については、事前に地元政府に、場所と時間、招待客リスト、費用などを事前に地元政府に報告することとし、葬儀についても終了後10日以内に、会葬場所や費用、参加者リストなどの詳細を政府に報告しなければならないという。
すでに、中国では富寧県のほかにも、全国的に地方の町村レベルで贅沢禁止の動きが拡大していると「瀟湘晨報」は報じている。
このようななか、全人代常務委員会は食品の浪費を禁じる「反食品浪費法」を可決。同法では、飲食店で料理を注文しすぎた客に店側が食べ残した分の処分費用を請求できるようにするほか、飲食店に対しても、客に大量に注文させた場合には最高で1万元(約17万円)の罰金を科すこととした。さらに、中国の動画共有サイトなどで人気を集めている大食いを自慢する映像の配信を禁止し、違反した事業者などに最高で10万元(日本円で約170万円)の罰金を科すことができるようにした。