コロナ禍ですっかり浸透したテレワーク。満員電車での通勤不要というメリットがある一方、深夜まで仕事をする割には生産性が低いとのマイナス面の指摘も根強い。上司からのプレッシャーのかかり具合も変わってきた。テレワークで仕事のパフォーマンスを上げるにはどうしたらいいか──。ニッセイ基礎研究所主席研究員の篠原拓也氏が、心理学の法則を交えて考察する。
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コロナ禍は、何度かの感染の波を繰り返しながら、1年以上にわたって人々の生活に影響を与え続けてきた。外出の自粛、各種イベントの中止や無観客開催、飲食店等の時短営業や酒類提供禁止など、一昨年までは考えもつかなかった事態が、当たり前の日常の風景になりつつある。
会社員のテレワークもその一つだ。自宅のパソコンで会社文書を作成したり、オンラインで会議をしたりするような働き方は、コロナ前にはほとんど考えられなかったという会社も多い。もちろん、接客を伴う小売業や、現場作業が欠かせない建設業など、業種によっては、テレワークでは仕事にならない場合もある。ただ、コロナ禍で効率的な働き方を模索する動きが広がったことは確かだ。
テレワークだと、仕事がはかどるという人もいれば、深夜まで仕事をしてしまいかえって効率が悪いという人もいる。本来、通勤時間が不要で効率は高まるはずなのだが、上司からのプレッシャーもあり、そう簡単にはいかないようだ。ではどうすれば、上司とうまく付き合いながら、仕事のパフォーマンスを上げられるのか。少し考えてみよう。
テレワークで人間関係のストレスが変化するケースも
テレワークについては、さまざまな調査が行われてきた。内閣府や厚生労働省、東京都等の自治体、東京商工会議所、民間調査機関などから、コロナ禍でのテレワークの調査結果が公表されている。
これらの調査では、テレワーク導入のメリットとデメリットが挙げられていることが多い。ひと口にテレワークといっても、会社ごと、会社員ごとに、さまざまなケースがあるようだ。
テレワークの仕方によっては、職場の人間関係のストレスが変化するケースもある。
昨年末に内閣府が公表した「第2回新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」(令和2年12月24日)によると、テレワーク経験者の40.8%が「職場の人間関係のストレスが軽減される」というメリットをあげた一方、28.2%が「画面を通じた情報のみによるコミュニケーション不足やストレス」というデメリットをあげている。
テレワークによって、ストレスが軽減する人もいれば、ストレスを感じてしまう人もいるわけだ。そして、そうしたストレスの変化は、仕事のパフォーマンスにも影響を与える。