中国広東省深セン市中心部にある高さ356m、地上72階・地下4階建ての高層ビル「賽格広場(SEGプラザ)」が5月中旬、2日間にわたって揺れ続け、ビル内のオフィスにいた約1万5000人が避難した。この騒動について、深セン市当局は直ちに原因の調査を命じるとともに、SEGプラザのテナントの代替のオフィスを手配するなどの対応策を打ち出している。
今後も同様の事態が発生すれば、深セン市に進出している企業が、他の地域へ流出することも予想され、北京の習近平指導部からは、厳重な対策をとるよう求められているという。地元紙「深セン特区報」などが報じた。
SEGプラザは深セン市内では5番目の高さで、世界でも72番目だが、築21年でTMD(チューンド・マス・ダンパー)と呼ばれる制振装置を設置していない。
揺れの原因について、広東省政府緊急事態管理局は「風やビルの地下を走っている2路線の地下鉄、気温の上昇による鋼材の伸びが揺れの原因だ。今後も同じような条件がそろえば、揺れが生じる可能性がある」と分析している。
香港の英字紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」によると、その後の検査では建物の構造や周辺環境に異常はなかったとのことだが、駐広州市米国総領事館は米国市民に対して、原因が分かるまで、SEGプラザから離れるよう警告している。
ロイター通信などの海外メディアは「人口1200万人を超える都市の中心部にあるこれほどの規模の超高層ビルが危険建築物と判明した場合、当局が今後どのような対応を取るかは不明だ」と報じるなど、当局側の対応を注視している。
習近平指導部も広東省トップの李希・党委書記に事態の原因究明と安全確認を命じた。李氏は陣頭指揮をとって対応に当たっているが、具体的な原因は分かっていないという。
対策が遅れれば、補償問題も生じるだけに、ビル側も対応を急いでいるが、いまのところ、具体的な対応策はとれていない状況だ。