「デビュー10周年を迎えて活躍の幅を広げている浜辺美波さんですが、個人的には彼女がこれまで見せてきたのは、まだまだ才能の片鱗のように思います。特に映画では、“大作”や“漫画原作もの”がほとんどでした。
後者は、既にビジュアルとして世に存在するものの“実写化”ですから、演じるうえでゼロベースというわけにはいかない(観る側の意識も含めて)。ドラマも含め、ある種“制限の中の演技”“外(見た目)から作っていく役”が多かったように思います」(映画ライターのSYO氏)
確かに『約束のネバーランド』や『賭ケグルイ』シリーズ、さらに『映像研には手を出すな!』や『思い、思われ、ふり、ふられ』、『アルキメデスの大戦』など、浜辺美波が出演してきた映画には漫画が原作となっている作品が多い。そのため、原作のビジュアル・イメージをベースにした演技とならざるを得ないと言える。SYO氏が続ける。
「そうした“大作”や“漫画原作もの”の中で技術力を見せてきた彼女だけに、“内(内面)から作っていく役”も観たいですし、これまで演じてきた濃い目の役柄とは真逆の“余白が多い役”を演じたとき、どんな化学反応が起こるかも気になるところです。
浜辺さんはトークも非常に面白い方ですし、大の漫画好きでもあり、魅力あふれる表現者。もっともっと多方面に活躍し、この先、それこそ10年後に“演じられない役がない存在”になっていくことを期待しています」
2000年8月生まれで現在20歳の浜辺美波は、10年後にはちょうど30代を迎えることになる。20代を通じてどんな役柄に挑戦していくかが、その後の表現活動における立ち位置を決めることにもなりそうだ。
◆取材・文/細田成嗣(HEW)