北川景子、永山瑛太主演の連続ドラマ『リコカツ』(TBS系、金曜夜10時〜)で話題になっている役柄がある。それが永山演じる航空自衛隊員・緒原紘一と同じ職場の副パイロット・一ノ瀬純(田辺桃子)だ。ドラマオタクのエッセイスト・小林久乃氏が、略奪愛が描かれるドラマの “法則”について分析する。
* * *
『リコカツ』の一ノ瀬純という役を振り返ってみる。ドラマ開始時から、永山瑛太演じる紘一が既婚者と知りつつ好意を寄せて「自分のほうが奥さんより紘一に似合っている」と信じ、行きすぎた行動に出てきた。
まずは第2話で、紘一の職場仲間とその家族を集めた屋外でのバーベキュー中。純はわざと妻の咲(北川)を森の中で遭難させるように誘導していた。単純な意地悪だ。このあたりからSNS上では「自衛隊員が人を困らせていいのか」「なんだこの女!」とバッシングが飛び交い出す。私も同じ気持ちでイライラしていた。
そして第4話で視聴者をさらに腹立たせることになる事件が勃発。緒原家でホームパーティーを開いた時のこと。純は手土産にお手製の「おでんと筑前煮」を持って現れたのだ。この“おでん”がどうにも引っかかった。
ドラマにおける“略奪愛とお出汁”の親和性
そもそも他人の家にお邪魔するのに、おでんを持ち込むことに違和感がある。デパ地下には数多のおしゃれが止まらない手土産が売られているのに、敢えての“おでん”と“筑前煮”の家庭料理で、妻に向かってマウントを取ってくるとは……。