新型コロナウイルスの大規模接種が始まったものの、なかなかスムーズに進まない現実がある。体当たり取材でおなじみの『女性セブン』の名物記者“オバ記者”ことライターの野原広子も、ワクチン接種に関してひと悶着あったという。オバ記者が体験談を明かす。
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連日、テレビをつければ新型コロナウイルスのワクチン接種のことばかり。○○では予定した数に足りないとか、××では温度管理ができずにン回分のワクチンを廃棄処分にしたとか。かと思えば菅義偉総理大臣が「65才以上の高齢者接種は7月末完了」を掲げて、「1日100万人ずつ打っていく」と力んだりして、早い話がしっちゃかめっちゃか。
で、東京・千代田区のわが家に「新型コロナワクチン接種の予診票」が届いたのは、接種開始から数日後のこと。埼玉や茨城に住む友達から、「え~っ、もう来たの? さすが千代田区だね。こっちは影も形もない。テレビで見るだけだよ」と驚かれた。
が、しかし、開封して書類をパラリとめくった私は完全に固まったね。「65歳以上対象 新型コロナウイルス予防接種(要予約)のお知らせ」と太字でドーンと書いてあって、その半分ほどの文字で「このお知らせは優先接種の対象となる高齢者の方にお送りしています」と続く。
あのさ、私、64才だけど、高齢者なの? WHO(世界保健機関)が、65才から74才までを「前期高齢者」、75才以上を「後期高齢者」と定義づけていることは知っているけど……コロナ禍のいま、1才の違いなんかどうでもいいから、高齢者になりやがれってこと? 年齢を聞かれればためらわず答える私だけど、完全に頭に血が上っていたんだね。その下にさらに小さな文字で「令和4年3月31日時点の年齢」と書いてあったんだけど、これがまったく頭に入ってこなかった。
それにしても、注射恐怖症の私には、今回のワクチン接種はえらくハードルが高いのよ。あの長い針がス~ッと腕の中に沈んでいくのをニュースで見るだけで、あぁ、もうダメ。書いているだけで気分が悪くなる。なのにテレビは一日中、朝から晩までこれでもかというほど、このイヤな映像を流している。
そして何より厄介なのが、手続きよ。複雑怪奇すぎて、役所恐怖症になっちゃう。使っている日本語がまるきり違うんだもの。
先日の持続化給付金の申し込みのときもそう。受給の条件は完全に満たしているのに、提出書類が不備だとかで、役所で何度も何度もつき返された。「書類審査が通りました」というメールが来たのは、受付締切最終日3日前のこと。かれこれ2か月も待たされ続け、やきもきさせられた。