誰もが夢見るものの、なかなか現実にならない“夢の馬券生活”だ。「JRA重賞年鑑」で毎年執筆し、競馬を題材とした作品も発表している作家・須藤靖貴氏も、馬券生活を夢見る一人だ。そんな須藤氏が、万馬券ゲットのために、大活躍中のフランスからの騎手クリストフ・ルメールの弱点を探し、試行錯誤した苦難の道についてお届けする。
* * *
令和の常勝鞍上C・ルメール。彼をうまく外して的中すれば高配当、その模索なのだった。傑物の欠落をえぐり出すようで胸も縮むわけだが、強者の因縁です。馬券ファースト!
「日の前半、エンジンのかかりがイマイチ」との説。「特にダート、1番人気を飛ばしてないか」という友人の声にアンテナを立て、データをとった。JRA-VANのTARGETで2020年1月から2021年5月1週まで。
1~5Rの1番人気の首尾はどうか。222回騎乗で芝38勝、ダート39勝。勝率は芝.317、ダート.387。ダートよりも芝での分が悪かった。同条件で、ライバル川田の芝の勝率は.413だ。
さらに、オッズ1倍台だと芝.385、ダート.500。ダート戦できちんと結果を出している。
芝に絞ると、120回騎乗で4着以下(飛び)は44回。顕著なのが5Rだ。60回中1着20回だが23回も飛んでいる。
人気を限定しなければ95回走って1着26回、飛び38回。5R芝の飛び率4割。けっこう飛ぶ。「ルメールのアフターランチは疑え」か。
ところで、レース当日の騎手の昼食について。それぞれの流儀があり、水分だけだったり軽くサンドイッチをつまんだり。ある騎手は「体重が減り過ぎる」と蕎麦をずずっと啜る。ルメールの事情は分からぬものの、あれだけの乗鞍だから、喰わなきゃ身ももたんだろう。
5Rの不首尾はランチのせいじゃなさそう。
そのあたりはデビュー戦が多い。5Rの芝の新馬戦は46回。13勝、20回飛び。上記期間での全体の新馬戦騎乗は103回、1着24回、飛び48回。勝率.233、単勝回収率58円だった。