芸能

『おかえりモネ』 清原果耶と蒔田彩珠、対比的な姉妹がもたらす予感

『おかえりモネ』の女性キャストに注目(写真は清原果耶/時事通信フォト)

主人公・百音を演じる清原果耶(時事通信フォト)

 作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
 NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』の物語がいよいよ躍動感をもって回り始めました。宮城県登米市の森林組合で働く主人公・百音(清原果耶)が、故郷・気仙沼の亀島へ向かう。百音は気仙沼の島に生まれ高校卒業と共に島を出た。森林組合に就職し新たな仕事に戸惑い、職場に慣れようと頑張る……だけでなく、自分はいったいどうしたいのか何になりたいのかと、内省的に自分を見つめている女性です。

 朝ドラが始まった当初、ちょっとモヤモヤとした、空虚を抱えている主人公像に出会い、前作『おちょやん』とのあまりの違いに驚かされました。前作で圧倒的な存在感を放った主人公・千代(杉咲花)を半年の間見つめてきた視聴者にとって、新しい朝ドラのどこを楽しむべきか。感情移入するポイントを探っていた人もまた多かったのではないでしょうか。

 そして第3週に入り舞台は亀島のお盆休みへ。帰京した百音に大きなショックを与える存在が。それはなんと、百音が最もよく知っているはずの妹でした。

 高校生の妹・未知は「研究職を目指す」という強い意志をすでに固めていた。祖父(藤竜也)が携わるカキ養殖業について自主研究を始め、卵から育てる地場採苗に挑んでいる。他地域から苗を購入するのではなく、ゼロからカキを飼育すれば水産業として自立できる--と、未来まで見据えた骨太な構想を描いている。ダイナミックな発想のその背後に、壊滅的な打撃をもたらし全てを奪った東日本大震災の影響が透けて見えます。だから、たとえ祖父が「高校生の自由研究」と軽視しようとも、その意志をガンとして曲げない。

 この朝ドラは家族内の物語のみならず、社会的な広がりを孕んで展開していく予感がします。

 とにかく未知の芝居が光っています。演じている蒔田彩珠さんの媚びない演技が素晴らしく、集中力があり切れ味はバツグン、グイグイ視聴者を引き寄せていきます。自分探しをしている姉・百音と、強い意志を持つ妹・未知--2人がくっきりと対比的に描かれます。

関連キーワード

関連記事

トピックス

都内の人気カフェで目撃された田中将大&里田まい夫妻(時事通信フォト/HPより))
《ファーム暮らしの夫と妻・里田まい》巨人・田中将大が人気カフェデートで見せた束の間の微笑…日米通算200勝を目前に「1軍から声が掛からない事情」
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
新横綱・大の里(時事通信フォト)
《横綱昇進》祖父が語る“怪物”大の里の子ども時代「生まれたときから大きく、朝ご飯は2回」「負けず嫌いじゃなかった」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ヤクザが路上で客引きをしていた男性を脅すのにトクリュウを呼んで逮捕された(時事通信フォト)
《ヤクザとトクリュウの上下関係が不明に》大阪ミナミでトクリュウを集めて客引き男性を脅して暴力団幹部が逮捕 この事件で”用心棒”はどっちだったのか 
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
新横綱・大の里(時事通信フォト))
《地元秘話》横綱昇進の“怪物”大の里は唯一無二の愛されキャラ「トイレにひとりで行けないくらい怖がり」「友達も多くてニコニコしてかわいい子だったわ」
NEWSポストセブン
ミスタープロ野球として、日本中から愛された長嶋茂雄さんが6月3日、89才で亡くなった
長島三奈さん、自身の誕生日に父・長嶋茂雄さんが死去 どんな思いで偉大すぎる父を長年サポートし続けてきたのか
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
金髪美女インフルエンサー(26)が “性的暴力を助長する”と批判殺到の「ふれあい動物園」企画直前にアカウント停止《1000人以上の男性と関係を持つ企画で話題に》
NEWSポストセブン
逮捕された波多野佑哉容疑者(共同通信)。現場になったラブホテル
《名古屋・美人局殺人》「事件現場の“女子大エリア”は治安が悪い」金髪ロングヘアの容疑者女性(19)が被害男性(32)に密着し…事件30分前に見せていた“親密そうな様子”
NEWSポストセブン
東京・昭島市周辺地域の下水処理を行っている多摩川上流水再生センター
《ウンコは資源》排泄大国ニッポンが抱える“黄金の資源”を活用できてない問題「江戸時代の取引金額は10億円前後」「北朝鮮では売買・窃盗の対象にも」
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン