「空を見て『雲がきれいだ』と思えた時点で、その人は前向きになれている」──これは、朝ドラ『おかえりモネ』の劇中で、“彩雲”を見た主人公の百音(清原果耶)に、気象予報士の朝岡(西島秀俊)が語りかたせりふだ。
「ぼくも、よく空を見上げています。観天望気のためもありますが、天気予報の本番前や朝の通勤時などに空を見るとホッとするし、気持ちも前向きになるんですよね」
そう語るのは、気象予報士の天達武史さん。
「観天望気というのは、空を観察して天候の変化を予想することです。たとえば、いまの時期に『うろこ雲』が出たら、それは2〜3日以内に天気が崩れる、という前兆です」(天達さん・以下同)
うろこ雲(別名、いわし雲)が出ると、しばらくしてその下にひと回り大きいひつじ雲ができる。さらに雲の隙間がなくなり、高層雲から乱層雲となって厚みを増すと雨が降るという。
「雲の種類や変化を覚えておくと、天気を読むことができますよ」
今年の梅雨は長引きます
例年に比べ、今年は3週間ほど早く梅雨入りをした地域が多かった。
「これは、5月にインド洋でサイクロンなどが発生したのが原因の1つ。インド洋周辺から強い上昇気流が発生し、偏西風を押し上げたことで、日本付近でも偏西風が大きく北へ蛇行しました。このため、太平洋高気圧の張り出しが早まり、梅雨前線が5月から本州付近に停滞しました」