ドラマには、主人公やヒロイン以外にも重要な役割を果たす登場人物がいる。それは「妹」だ。『コントが始まる』(日本テレビ系)、『おかえりモネ』(NHK)では、その役割が顕著だという。コラムニストのペリー荻野さんが解説する。
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今シーズンは、ヒロインの妹たちがドラマを盛り上げている。 その代表が『コントが始まる』の古川琴音。古川は、解散を決めたお笑いトリオ・マクベス(菅田将暉・仲野太賀・神木隆之介)を熱烈に応援する中浜里穂子(有村架純)の妹つぐみの役だ。
つぐみは、前の職場で深く傷ついた姉を「励ますため」東京で同居を始める。しかし、自身も優等生だった姉とは違い、高校卒業後も何をするでもない日々を過ごしていたのだ。やがて、つぐみはスナック勤めを始め、マクベスメンバーの瞬太(神木)とつきあうことに。
「ファンとはつきあわないことが鉄則のはず」と怒る姉につぐみは「私はファンじゃない」と言い放ち、ケンカになるのである。だが、芸能事務所に就職する決意をした妹は、姉の家を出るとき、得意料理をたくさん作って感謝の心を手紙に綴っていくのだ。
人生に迷い続ける若者たちの日常。微妙な感情の揺れをコントとつなげて描く手法は見事だ。その中で、年下のつぐみは、感情的になりがちな姉やマクベスの面々を少し離れたところで見つめている。揺れてないように見えて、とても揺れていて、しかも、なかなか素直にその優しさが出せないでいる。つぐみの揺れと秘めた優しさの出し方は、絶妙だ。
思えば、古川はHuluオリジナルドラマ『THE LIMIT』第二話「タクシーの女」でも妹役だった。羽田空港に急ぐ弁護士の姉(門脇麦)が偶然、自分が運転するタクシーに乗車すると、妹(古川)は当初、自分に気づかなかった姉に「妹の職業知らないって、どうかしてるよ」と言い、車は羽田とは逆方向に。あわてる姉に妹は「降りれるわけないでしょ、バーカ」と意地悪顔だ。その裏にも秘めた気持ちが…。
また、JTのコマーシャル「想うた」シリーズでは、美容師の姉妹に。生真面目な姉(石橋杏奈)とは対照的にカラフルな髪色の妹(古川)は、対立しつつも姉を慕う。こども時代の「かっとけん 1かい」で姉に髪を切ってほしいと頼むのである。古川琴音のさまざまな「妹演技」お見事。
もうひとり、印象的な「妹」は、朝ドラ『おかえりモネ』のヒロイン、モネこと百音(清原果耶)の妹・未知(蒔田彩珠)だ。