雨が降る日に起こる頭痛や耳鳴り、めまい、体が重くて怠いなどの不調は、近年、天気の影響で起こる“気象病”であると解明され、気象病を扱う外来も徐々に増えてきた。
気象病に悩む人は、国内に1000万人以上いると推定され、ウェザーニュースのお天気アプリでも「天気痛予報」が、人気コンテンツとして定着するほど、天気痛や気象病は身近になった。
「気象病は気圧や温度、湿度などが変化することで発症します。特に深く関与するのが“低気圧”。30年以上におよぶ私の研究では、鼓膜の奥にある内耳が敏感な人ほど、気圧の微妙な変化によって自律神経のバランスを崩し、気象病になりやすいのです」
そう語るのは、愛知医科大学客員教授で、気象病の第一人者の佐藤純さん。
気象病の症状は実にさまざまで、佐藤さんが開設する天気痛外来の患者の7割は、女性が占めるという。
「日本では3月頃から梅雨明けにかけては、低気圧や気圧の谷が多く通過する、一年の中で最も気象病がひどくなるシーズンです。今年はコロナ禍に早い梅雨入りが加わり、自律神経が乱れやすい状況が続いているのが心配です」(佐藤さん)
気象病への対策としては、まず、気圧の変化を早めに察知すること。そして、天気痛耳栓などで内耳にかかる気圧を調整する、耳マッサージや耳温熱、タオル体操などで、内耳まわりの血流をよくし、低気圧に備えることが有効だ。これらの気象病対策について、具体的に説明する。