「富士山は300年ぶりの大噴火に向けた“スタンバイ状態”に入っています」──。そう語るのは、火山学の権威で京都大学名誉教授の鎌田浩毅氏だ。2011年の東日本大震災をきっかけに、富士山地下のマグマに影響が及んだという。それによって「富士山は噴火しやすい状態に入った」(同前)との指摘だ。
だが、噴火の危険性が囁かれているのは、富士山だけではない。中国と北朝鮮の国境にそびえる白頭山もまた、噴火の危険性があるという。
北朝鮮で「革命の聖地」と呼ばれる白頭山は、2018年の南北首脳会談で文在寅氏が韓国大統領として初めて登頂したことでも話題となった活火山だ。
1000年周期で大噴火を繰り返してきた白頭山が最後に噴火したのは946年。標高2744mの山頂に直径5kmのカルデラ湖が形成されるほどの“世界最大規模”の大噴火だったと考えられている。朝鮮半島全域で火山灰が1m以上、日本でも5cm程度積もったとの記録が残っている。
そんな白頭山が、1000年超の沈黙を破って噴火の兆候を見せている。世界中の火山学者が調査に乗り出し、中国・北朝鮮だけでなく「韓国全土が火山灰に飲み込まれる」「北半球の平均気温が最大0.5℃下がる」などと言われる。
もし大噴火すれば、日本でも近畿地方、中国地方などに火山灰が積もる可能性も指摘されている。
※週刊ポスト2021年6月18・25日号