6月2日、国民的な議論が必要となる女性天皇について、注目すべき動きがあった。加藤勝信官房長官が皇位継承を定めた憲法2条の「世襲」について、「男系、女系(天皇)の両方が憲法において含まれる」と発言。「慎重かつ丁寧に検討を行う必要がある」とは続けたが、遅々として進まなかった皇位継承の議論を進める意図だったのは間違いない。官邸関係者はいう。
「コロナ対応で後手に回り、支持率低迷にある菅政権ですから、国民の関心の高い『女性宮家の創設』に着手し評価されることで、支持率低迷の打開策にする狙いがあります。天皇の『男系維持』にこだわっていた安倍前総理の流れを汲む菅総理は、表立って女性・女系天皇に関する意見は言いづらく、発言は控えています。ですが、菅総理は実際のところ、女性政策にはとても積極的ですし、男女平等の信念を持っています。女性宮家の創設、ひいては女性天皇の実現にも肯定的なんです。
ちょうど東京五輪が終わって、新型コロナのワクチン接種もひと段落するであろう9月以降は、ほかに重要な政治的なテーマもない。そのときまで菅政権が続いていれば、女性宮家の議論を一気に進めようとするのは間違いありません」
ところが、秋篠宮家長女・眞子さまの婚約内定者の小室圭さんの存在が、議論の停滞を招いているとも言われている。ご結婚前に女性宮家が創設されれば、眞子さまは新しい宮家の当主となられる可能性がある。その後に小室さんとご結婚されれば、小室さんは皇室に入り、“圭殿下”となる可能性もあるのだ。眞子さまの結婚問題に終止符が打たれない限り、本格的な議論を進めにくい現状があるのだ。
だが、こうした“手詰まり”ともいえる現状は、実は紀子さまにとって“好都合”な状況でもある。
「天皇の母」となる未来が危うい
安定的な皇位継承策について、2005年にも大きな議論になったことがある。
「秋篠宮さまのご誕生以来、男性皇族が40年もお生まれになっておらず、近い将来の皇位継承が危ぶまれた頃でした。当時の小泉純一郎内閣は『皇室典範に関する有識者会議』を開き、女性天皇・女系天皇を認める報告書をまとめ、それに基づいた皇室典範改正法案を提出する道筋を描いていました。
ですが、2006年に悠仁さまが誕生され、風向きが変わりました。新たな男性皇族が生まれたことで、“喫緊の課題ではなくなった”と、法案の提出は先送りにされたのです」(宮内庁関係者)
それから15年、今度は「愛子天皇」への期待という形で、皇位継承策は国民の関心を集めるようになった。その動きを注意深く見守られているのが、紀子さまだという。