開会予定日まで約1か月となった東京五輪だが、IOC(国際オリンピック委員会)は、観客を受け入れるかは「6月末」に判断すると発表した。
仮に無観客となれば、すでに販売されたチケットの扱いを巡る混乱などが懸念されている。そうしたなかで関係者の注目を集めるのが、「富裕層向けプラチナチケット」の存在だ。本誌・週刊ポスト2021年6月18・25日号掲載の記事〈五輪「145万円チケット」が“キャンセルできない!”〉では、五輪組織委が委託した代理店3社が独占販売する「公式ホスピタリティパッケージ」という商品の購入者の悲鳴を報じた。同商品は人気競技の特等席観戦のほか、新国立競技場に隣接する会場での〈国際的シェフによるグルメ料理〉〈厳選されたシャンパン、日本酒、ビール〉提供など、VIP待遇の“おもてなし”が謳われている。
プランは8区分され、最高額は635万円という“セレブ向けチケット”だが、コロナ収束が不透明なだけに、大枚をはたいた購入者の間で“本当に予定のサービスが受けられるのか”などと困惑が広がっている。そして今回、さらに驚く証言に突き当たった。
「6月中旬、所属している社交クラブの会員宛に、メールで突然、五輪プレミアチケット販売の案内があったんです。特別席でお酒や料理を楽しみながら観戦できるとかで、『BUY NOW(いま買う)』というリンクを押すと、開会式は1席100万円もの値が付いていました」
そう話すのは「東京アメリカンクラブ」の会員だ。50か国から1万人の会員が集う同クラブは90年以上の歴史を持ち、入会金は350万円とされる“富裕層の社交場”だ。
「知人の米国人会員にも同様の案内が送付されたようですが、開催直前なのにどんな料理が提供されるかも書かれていない。“競技場での飲食禁止が議論中なのに、本当にこんなサービスがあるの?”と疑問に思うのが自然でしょう。だぶついたチケットを捌こうとしているのでしょうか」(同前)
富裕層を対象に改めて高額チケットが、「大売り出し」されているというのである。観客受け入れの判断は6月末なのに、“五輪ムラ”のチケットブローカーは「有観客」の結論を確信しているのだろう。