中国のトレイルラン二ング大会で大惨事
中国甘粛省白銀市景泰県の山中で5月22日に行われた100kmのトレイルラン二ング大会ではひょうや雨、強風など天候が急変し、167人の参加者のうち、国際級の選手を含む21人が死亡、8人が負傷するという大惨事となった。さらに、その17日後の6月8日、景泰県トップの李作壁・県中国共産党委員会書記がホテルの屋上から飛び降りて死亡したことが明らかになった。
李氏は死亡する直前に、同ホテルの一室で、党員の勤務態度や規律問題などを調べる党規律審査委員会の事情聴取を受けており、聴取終了後、発作的に飛び降り自殺を図ったとみられている。米国を拠点とする中国問題専門ウェブサイト「多維新聞網」が報じた。
このトレイル大会には、日本の代表的なトレイルマラソン大会「ウルトラトレイル・マウントフジ(UTMF)」2019年大会で2位となった中国人ランナー、梁晶(リャン・ジン)氏ら国際的なランナーを含む21人が死亡するなどして、世界的なニュースとなり、中国最高指導部も大きな関心を示していた。
事件後すぐに、中国の最高指導者、習近平国家主席やナンバー2の李克強首相らが甘粛省の党委員会に対して、参加者の手厚い保護などについて、細かな指示を伝えていたという。
これを受けて、甘粛省党委は事故から2日後の5月24日夜、景泰県で対策会議を開き、習氏ら指示を伝達したほか、「なぜ、このような大惨事が起きたのかなど、関連する問題を徹底的に調査し、法律に従って大会の主催者側の責任を追及しなければならない」などと指摘したという。
地元メディアの報道によると、会議では「極端な天候の変化は予測不能だが、天候が急変した段階で、救助隊を派遣するなどの準備が全くできていなかったことが大きな問題だ」として、大会の主催団体及び、大会をサポートする立場だった景泰県政府の対応が遅れたことが29人の死傷者を出した大きな原因だと指摘している。