ハンガリーの国会は6月15日、首都ブダペストにあるドナウ川のほとりの国有地を中国の名門、復旦大学のキャンパス建設のために寄付する法案を賛成多数で可決した。復旦大学のキャンパス建設については、野党連合の首相候補に名乗りを上げているカラーチョニ・ブダペスト市長らが反対を表明。これに同調する市民1万人が6月5日、大規模な抗議デモを行っていた。来年の総選挙をにらんで、与野党の政争が激しさを増すことが予想される。
ハンガリー政府は今年4月、ブダペストに学生約6000人と教員500人規模の復旦大学を設立する協定を中国と締結した。
中国寄りのオルバン首相が推進したもので、オルバン政権は大学が新しい研究開発センターを誘致するだけでなく、外国からの投資に大きく依存しているハンガリーへの新たな投資を誘い、高い経済成長を導き出すことになるなどと主張している。
キャンパスは4つの区画に分かれ、建設費用は20億ドル(約2200億円)と見込まれており、小国であるハンガリーにとっては大きな財政的負担となる。
これに対して、オルバン首相の政敵であるカラーチョニ市長は、中国政府の国際的な経済圏構想である「一帯一路」政策によって、ハンガリーの中国への負債が積み重なっているなかで国家の経済危機が強まっており、ブダペストに復旦大学を誘致すれば、一層の中国への依存から逃れられなくなるなどと、反対を表明している。
ハンガリーのシンクタンク、共和党研究所の最新の世論調査によると、ハンガリー国民の66%が復旦大学の設立に反対し、支持を表明しているのは27%だけだ。 地元メディアは、復旦大学の建設によって、ハンガリーは少なくとも数十億ドルの対中債務を新たに抱え込むことになると報じている。