芸能

ちあきなおみ 紅白で“気持ちの悪い歌”と言われた『夜へ急ぐ人』

ちあきなおみ

1977年9月に発売した『夜へ急ぐ人』の振り付けは鬼気迫るものがあった。後年、一青窈や大竹しのぶがカバーしている(写真/石田伸也さん提供)

 1992年に活動休止した歌手・ちあきなおみ(73才)は、いまなお伝説として多くの人々に愛され続けている。卓越した技巧と情感あふれる歌唱力から、ちあきは「劇場型歌手」といわれ、その歌の世界は「まるで4分間の映画のようだ」と称されることも多い。2019年に発売されたコンセプトアルバム『微吟』の売上も3万5000枚を超え、異例のヒットとなった。

「何より、譜面を大事にしている人でした」。そう証言するのは、活動休止前の最後のマネジャーを務めた古賀慎一郎さんだ。

「ちあきさんはよく、『歌手は譜面が読めなきゃいけない』と言っていた。何かを書き込んだりするわけではないけれど、どんなときも譜面を見てから歌っていましたよ」(古賀さん・以下同)

 古賀さんによれば、『紅とんぼ』(1988年)という曲で彼女とコンビを組んだ作曲家の船村徹さん(享年84)は、こう評していたという。

「ちあきなおみは譜面の裏側まで読める。だから曲の奥行きまで表現できるんだ」

「運命」夫と出会い、殻を破る

 1972年の『喝采』、1973年の『劇場』、『夜間飛行』の三部作により、“ドラマチック歌謡”の担い手となった彼女は、26才のときに運命の人と出会う。のちの伴侶となる俳優の郷えい治さん(享年55、当時36才、『えい』は金へんに英)だ。

 郷さんの実兄である宍戸錠さん(享年86)とちあきがドラマで共演したのが縁で、ふたりは交際するようになる。ジャーナリストの石田伸也さんはこう話す。

「ちあきさんは、従来の歌謡曲だけでは飽き足らず、さまざまなジャンルの曲を歌いたいと考えていました。

 でも、当時の事務所やレコード会社は“売れる歌手”として歌謡曲や演歌を歌わせたかったんです。それに、レコード会社は郷さんとの結婚に反対していた。1970年代のレコード会社はとにかく圧倒的な力を持っていたので、スターの結婚を認めようとはしませんでした」(石田さん)

 だが、ふたりの絆はますます深まっていく。その後、郷さんは俳優を辞め、ちあきのサポートに回るようになる。そして、彼女は長年所属していたプロダクションと袂を分かつようになっていく。

関連キーワード

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン