ロサンゼルス・エンゼルスで大活躍する大谷翔平(26)の魅力はもはや、卓越したアスリートとしての能力だけではない。礼儀正しさや周囲への気遣い、そうした振る舞いを含めてファンは魅了されている。彼の類稀なキャラクターは両親の教育の賜物だ。
とはいえ、大谷家はしつけのために特別な“家庭内ルール”を設けることもなかった。
『道ひらく、海わたる 大谷翔平の素顔』(扶桑社刊)の著者でスポーツジャーナリストの佐々木亨氏が教育方針を訊ねると、父・徹さんはこう答えたという。
「これといったしつけみたいなものはありませんでしたよ。ごくごく普通。私たち親が『おはようございます』『お休みなさい』を言う。あるいは、自分が食べたものは自分で片づける。そんなごく当たり前の普通のことを親が率先してやれば、その姿を子供たちは見て自然とやるようになるのかなあとは思っていましたけど、思い当たるのはそれぐらいですね」
末っ子の大谷(7歳上の兄と2歳上の姉)は、家族の姿を見て学び取るのが上手だった。姉が両親から何か叱られれば決して同じことをやらない要領のよさもあったという。
本人の意思を尊重し、見守る──。それは大谷家の教育に通底するテーマだ。
「大谷選手は、親から勉強しなさいと言われたことはないと話しています。リビングのソファでそのまま寝てしまっても、両親は『歯を磨け』『ご飯を食べろ』などと言って起こすことなく、そのまま朝まで寝かせることもあった。細かいことには口を出さない姿勢が、大谷選手の大らかさ、朗らかさにつながっているのかもしれません」(佐々木氏)