体調の異変には気づいても、意外と見過ごしがちなのが「顔」に現われる変化だ。「疲れているから」「睡眠不足だから」と放置していたら、思わぬ大病のサインだったということもある。
例えば、顔色が「黒く」変化したら肝臓や腎臓疾患の疑いがあり、顔色が「白く」変化したら気管支喘息や肺がんなどの呼吸器系疾患、貧血が疑われる(別掲図参照)。
耳たぶのシワは…
耳に大病のサインが現われることもある。『病気は顔に書いてある!』などの著書があるイシハラクリニック院長の石原結實医師が解説する。
「耳たぶのシワが、実は心臓疾患が原因だと考えられるケースもある。耳たぶはもともと動脈の数が少なく、体内で動脈硬化が起きて血行が悪くなると細部まで栄養が届きにくくなる。その結果、耳たぶの脂肪部分が縮んで、表面にシワができることがあるのです。
代表的な心臓疾患である狭心症は、心臓に栄養や酸素を送る冠状動脈が硬化して細くなることで生じ、心筋梗塞は冠状動脈に血栓が生じて心筋が壊死することで発症します。いずれも動脈硬化と関係が深いので、耳たぶのシワには注意が必要です」
さらに、耳の外輪部にできたコブが「痛風」の兆候ということもあるのだという。
「尿酸が血液中に増加して起こるのが痛風です。本来尿として排出されるべき老廃物の尿酸が体内にとどまって高尿酸血症となり、関節に沈着し炎症を引き起こします。足の親指の付け根の関節に尿酸が沈着して腫れや激痛を伴うことが多いのですが、耳の軟骨や外輪部にできるコブは痛風結節と呼ばれ、同じく尿酸が沈着してできます」(石原氏・以下同)
また、耳たぶの下にある耳下腺が、痛みも発熱もなく腫れるような場合は、糖尿病であるケースが散見されるという。
「糖尿病は膵臓の働きが低下しインスリンの分泌不足で血液中に糖が残ることで発症しますが、この時、膵臓に似た働きをする耳下腺が機能低下を補おうとした結果、腫れることがあるのです」