ライフ

日本民藝館【4】開放的な吹き抜けの玄関に「清さを感じます」と壇蜜

本館の玄関広間。入館してまず目にする場として、特別展に関連する工芸品や季節にふさわしい工芸品が展示される

本館の玄関広間。入館してまず目にする場として、特別展に関連する工芸品や季節にふさわしいものを展示

 日本美術応援団団長である美術史家・明治学院大学教授の山下裕二氏と、タレントの壇蜜が、日本の美術館や博物館の常設展を巡るこのシリーズ。今回は東京都・目黒区の日本民藝館の第4回。2人が美しい柳宗悦の工芸品の数々を見て回る。

山下:大正14年にかつてない美の視点「民藝(民衆的工芸)」を提唱した柳宗悦は、昭和11年に日本民藝館を開館。今でこそ海外でも日本の民藝デザイン展が開かれるなど美術史でジャンルが確立されましたが、当時は理解が得られず自ら提示の場を設けました。

壇蜜:玄関広間は住まいのような心安らぐ空間となっています。開放的な吹き抜けには清さも感じます。

山下:住居風の内装には柳の美学が踏襲され、日本民藝館の味となっています。木の展示ケースも工芸品が映えるようにと柳がデザイン。展示のキャプション(説明文)にも注目ですよ。

壇蜜:手書きですね!

山下:毛筆の文字が工芸品と自然になじみ、寄り添っている。解説としての文章がないのは“直観で展示に触れて欲しい”という柳の美意識によるものです。

壇蜜:2階の大展示室には玄関広間と同じく、大谷石が床に敷かれています。

山下:大展示室は大谷石や葛布など自然素材を用いて改修、柳が設計したかつての旧大広間(豊田市民芸館へ移築)の姿へ立ち返りました。壁面に大型ケースも入り、展示が美しく見える空間となっています。

【プロフィール】
山下裕二(やました・ゆうじ)/1958年生まれ。明治学院大学教授。美術史家。『日本美術全集』(全20巻、小学館刊)監修を務める、日本美術応援団団長。

壇蜜(だん・みつ)/1980年生まれ。タレント。執筆、芝居、バラエティほか幅広く活躍。近著に『三十路女は分が悪い』(中央公論新社刊)。

●日本民藝館
【開館時間】10時~17時(最終入館は閉館30分前まで)
【休館日】月曜(祝日の場合は開館し、翌平日が休館)、年末年始、その他臨時休館あり/西館(旧柳宗悦邸)公開日会期中の第2水曜・土曜、第3水曜・土曜(10時~16時半、最終入館は閉館30分前まで)
【入館料】一般1200円
【住所】東京都目黒区駒場4-3-33 ※開館情報はHPにて要確認

撮影/太田真三 取材・文/渡部美也

※週刊ポスト2021年7月9日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

悠仁さまが大学内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿されている事態に(撮影/JMPA)
筑波大学に進学された悠仁さま、構内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿「皇室制度の根幹を揺るがす事態に発展しかねない」の指摘も
女性セブン
奈良公園と観光客が戯れる様子を投稿したショート動画が物議に(TikTokより、現在は削除ずみ)
《シカに目がいかない》奈良公園で女性観光客がしゃがむ姿などをアップ…投稿内容に物議「露出系とは違う」「無断公開では」
NEWSポストセブン
ショーンK氏が千葉県君津市で講演会を開くという(かずさFM公式サイトより)
《ショーンKの現在を直撃》フード付きパーカー姿で向かった雑居ビルには「日焼けサロン」「占い」…本人は「私は愛する人間たちと幸せに生きているだけなんです」
NEWSポストセブン
気になる「継投策」(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督に浮上した“継投ベタ”問題 「守護神出身ゆえの焦り」「“炎の10連投”の成功体験」の弊害を指摘するOBも
週刊ポスト
長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
3月末でNHKを退社し、フリーとなった中川安奈アナ(インスタグラムより)
《“元カレ写真並べる”が注目》元NHK中川安奈アナ、“送別会なし”に「NHK冷たい」の声も それでもNHKの判断が「賢明」と言えるテレビ業界のリスク事情
NEWSポストセブン
九谷焼の窯元「錦山窯」を訪ねられた佳子さま(2025年4月、石川県・小松市。撮影/JMPA)
佳子さまが被災地訪問で見せられた“紀子さま風スーツ”の着こなし 「襟なし×スカート」の淡色セットアップ 
NEWSポストセブン
第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン