最近、大物アーティストが続々と音楽サブスクリプション配信サービスを解禁している。 5月にはロックユニット・B’zが、Apple Music、Spotify、AWA、LINE MUSICなどで全楽曲のストリーミング配信を開始。配信直後のAWAの再生数急上昇ランキングでは、一時1位から100位までを独占した。
2018年にはMr.Children、2019年にはサザンオールスターズ、星野源、2020年にはRADWIMPS、米津玄師などがサブスクを解禁。現在、ほとんどのアーティストの楽曲がサブスクで聴けるようになっている。
「サブスクでアーティストへ支払われる額は、1再生あたり0.01円ほどだと言われています。1万回再生でも100円程度。それでもサザンオールスターズやB’zのように、過去に膨大な楽曲を発表しているアーティストにとっては旨味のあるビジネスです。従来のファンはCDを持っていてもサブスクを利用して楽曲を聴くため、アーティストにとって新たな収入源となる。さらにネット上で気軽に聴けるようになることで新規ファンの開拓にもつながります」(レコード会社関係者)
そんな中、今でもサブスクを解禁していないアーティストもいる。有名どころでは「ザ・ブルーハーツ」や、人気ロックバンド「マキシマム ザ ホルモン」、世界的に注目を集めるシティ・ポップの最重要人物・山下達郎などだ。
「(甲本)ヒロトとマーシー(真島昌利)は『ザ・ブルーハーツ』だけでなく、その後の『ザ・ハイロウズ』『ザ・クロマニヨンズ』の楽曲も全くサブスク配信していません。理由は明らかにされていませんが、アルバムの構成やライブでのファンとのコミュニケーションを大事にするバンドですから、サブスクに抵抗感があるのかもしれません。
マキシマムザホルモンの場合もほぼ同じでしょう。中心メンバーのマキシマムザ亮君が、過去のインタビューで『僕はパッケージや歌詞カードのアートワークを含めて音楽の一つだと思っているので、曲だけを配信する形にはしたくない』と語っています。
山下達郎さんの場合、“音質”が主な理由ではないか。サブスクは、通信量が膨大になることを防ぐため、基本的にデータを圧縮して配信しています。そうなると、CDに比べ音質が悪くなる。山下さんは音へのこだわりがものすごく、ツアーもNHKホールや中野サンプラザホールなど音響設備を認めた会場でしかやらないことで知られています。配信だからといって音質面で妥協することは考えにくい」(前出・レコード会社関係者)