【NEWSポストセブンプレミアム記事】
病院に行って治療を受けても、よくなるはずの体調が変わらないどころか、かえってひどくなる──そんな“不都合な真実”が確かに存在する。専門家たちが語る、受けても意味がない無駄な治療。知らず知らずのうちに、あなたもきっと受けているはず。病院の予約を入れる前に、じっくりお読みください!
コロナ禍で私たちの生活は一変したが、それは決して悪い変化ばかりではない。神奈川県在住の主婦、大澤加奈子さん(57才・仮名)は体調がよくなったことを実感している。
「これまで、少し血圧が上がった程度でも不安になってすぐに病院に駆け込んでいました。でも、昨年春からは『コロナをもらってしまうんじゃないか』と思ってパッタリと通院をやめた。体調が悪化するかと心配したけれど、普段から病院に行かなくて済むよう生活習慣に気をつけていたら、むしろよくなっていて。つまり、これまで気軽に受けてきた治療は無駄だったということなんでしょうか……」
皮肉なことに感染症流行による「受診控え」が、これまでの治療を見つめ直すきっかけになりつつあるのだ。これは日本に限った話ではない。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが解説する。
「アメリカでは、これまで過剰だと指摘され続けてきた精神疾患の薬の処方量が減ったことが報告されているほか、定期的な通院はオンライン診療で充分だとの声も出ている。“無駄な医療”を省く転換期になっているという声も少なくありません」
実際、医師の9割が「不必要な治療」を実感したという調査もある。コロナ禍のいまこそ、自分の受けている治療を見直す好機なのかもしれない。
無症状の胆石は手術をしない
病院経営者や外科医は手術をしたがる傾向があると指摘するのは血液内科医の中村幸嗣さんだ。
「手術は診療報酬の点数が高く、病院経営者にとって利益になりやすい。また、外科医はその後の患者の生活や揺れる気持ちより“病気そのものの改善”により強い興味を持ちやすく、自己の手術経験も積めることから手術をしたがる傾向にある。
実際、私が診てきたなかでも高齢者のある種の早期がんや弁膜症など、手術に適しているかどうか総合的にみて、判断が難しいケースであっても積極的に手術することをすすめていることがありました」
特に貧血気味であったり高齢患者の場合、手術後の回復がうまくいかなくなる可能性もある。医師がすすめる「手術」という選択肢が常に正解だとは限らないようだ。
国民皆保険制度の日本とは違い、無駄な医療を排除しようという意識が高い米国は、さらに進んでいる。