中国上海市の名門大学の復旦大学で6月初旬、39歳の男性講師が49歳の男性の大学学部長をナイフで刺し殺すという凄惨な事件が発生した。男性講師は同大教授への昇進を望んでいただが、学部長が拒否権を発動したことで、大学に残れなくなったことを逆恨みして、殺害に及んだとされる。
ネット上では「殺人事件の裏には、中国の大学の昇進システムに問題がある。常日頃から上司に贈り物をするなど、気に入ってもらえないと、いくら実績があっても、教授には昇進できないからだ」などとの声が上がっている。中国各紙が報じた。
この講師は姜文華氏で、同大数学科出身で、大学在学中、復旦大学学長賞を受賞するなど優秀な成績で卒業。米国の名門であるイェール大学の大学博士課程を修了。姜氏はイェール大学に教員として残ることを希望したが、その願いは叶わず、やむなく帰国。蘇州大学で数学の講師を6年務めたのち、出身大学の復旦大学に講師として戻った。
中国の大学では雇用の規則として、6年間講師として務めた後、助教授や教授に昇進しないと、大学に残ることはできないことになっている。昇進の条件としては、学部長など大学幹部の推薦を受けて、学内の教授会の投票で選出されるというプロセスを経なければならない。
また、学部長には当該教員の昇進への「拒否権」があり、教授会で推薦されても、学部長が拒否すれば、講師として6年間務めた後、自動的に雇用は打ち切られる。
姜氏の場合、今年が復旦大学の雇用の6年目に当たっており、学期末の6月の段階で、昇進が決まっていないと大学を去らなければならない。しかし、教授会で殺害された学部長の拒否権が発動されて、雇用の打ち切りが決まっていた。
姜氏は事件当日、ナイフをもって、学部長室に押し入って、学部長と言い争いになり、発作的に学部長を何度も刺し、死に至らしめたという。