首都高1000円値上げでも渋滞緩和しない
さらに批判が噴出しているのが、首都高速道路(首都高)の「1000円値上げ」だ。
現在、首都高の通常料金は普通車(ETC搭載車)の場合、距離に応じて300円~1320円となっているが、五輪期間中はこの通行料金に1000円が加算される(6時~22時)。タクシーやバス、小型貨物やトラックなど事業用車両は対象外のため、完全に“マイカー排除”の策といえる。
「東京2020大会 円滑な大会輸送のため首都高ロードプライシング実施」
いま、首都高だけでなく、首都高と直結する千葉、埼玉、神奈川方面の幹線道路には、こうした予告の横断幕があちこちにかかっている。
ロードプライシングとは何か。首都高のパンフレットによると「料金施策」の意で、〈大会関係車両が多く通行する首都高が渋滞しないように、時間帯別に料金を変動させ交通量を調整します〉とある。つまり、1000円も値上げすれば皆が高速道の利用を避け、渋滞が緩和されるという算段だ。
しかし、ジャーナリストの福田俊之氏は、「単純に料金を値上げすれば解決できるわけでもない」と指摘する。
「高速に限らず、道路の混雑は交通量が多い場合だけでなく、事故が原因で車線が閉鎖されて大渋滞を引き起こすケースが多い。
特に今はコロナ禍で電車を避け、首都高を通ってマイカー通勤をしている人も増えている中、会社に高速代を請求できる人は敢えて混雑が目に見えている下道は通らないでしょう。タクシーやトラックも普通に走るわけですしね」(福田氏)