新型コロナが再び感染拡大する中で強行される東京五輪──。上限1万人とする有観客開催は断念する可能性も出てきたが、人流制限があるとはいえ大会期間中に大混乱が予想されるのが、首都圏の道路状況だ。
オリンピック・パラリンピックが開催される7月19日~9月5日(8月10日~8月23日は除く)の期間中、東京では開閉会式が行われるオリンピックスタジアム(国立競技場)をはじめ、東京体育館や日本武道館、湾岸エリアのお台場海浜公園、武蔵野市の武蔵野の森総合スポーツプラザなど、競技が行われる各会場周辺では大規模な交通規制が敷かれる。
東京だけではない。千葉県では釣ヶ崎海岸でサーフィンが行われたり、埼玉県ではさいたまスーパーアリーナでバスケットボール、霞ヶ関カンツリー倶楽部ではゴルフも行われる。また、神奈川県では横浜スタジアムで野球、横浜国際総合競技場ではサッカー、江の島ヨットハーバーではセーリング競技が実施されるなど、首都圏の広範囲なエリアで通行規制が行われる予定だ。
「五輪中はクルマに乗るな」の大規模規制
会場周辺の交通対策には、完全にクルマが通れない進入禁止エリアや通行規制エリア、迂回エリアが設けられるほか、大会関係車両の専用レーンや優先レーンまで設置される。
「期間中はクルマで病院に行ったり買い物に出かけたりするのも難しそうで、どこか静かな場所に避難したいくらい。そもそもオリンピックの開催自体に反対なのに、どうして生活者がとばっちりを受けなければならないのか、まったく不愉快です」
こう憤るのは、都内在住の60代男性。「東京2020 オリンピック・パラリンピック競技大会 交通規制等のお知らせ」と書かれたパンフレットには、
〈都心部に一般交通が集中すると、選手が競技に間に合わないといった問題が生じてしまいます〉
と書かれ、テレワークや休暇取得等でクルマを使わないことや、経路変更や行動時間の変更などの協力を呼びかけているが、前出の男性は「要は五輪期間中はクルマに乗るなということでしょ。クルマは遊びでばかり乗っているわけではないのに…」と吐き捨てる。