がんに侵され、目に見えて弱っていくジャズ喫茶のマスター・田中(塚本晋也・61才)。彼の命を延ばす方法を百音(清原果耶・19才)は医師の菅波(坂口健太郎・29才)に相談するが、返ってきたのは厳しい現実。百音は無言で立ちつくし、その頰には、静かに伝う一筋の涙が──。
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』の6月24日放送回のワンシーン。ヒロイン・百音を演じる清原の泣きの演技が話題となった。
作品の特徴の1つが、これまでの朝ドラとは異なるヒロイン像だ。朝ドラのヒロインといえば、明るく前向きで、よくしゃべり、すさまじい行動力で突き進む……というのが常だが、本作のヒロインであるモネこと百音は、多くを語らず、冒頭のように表情だけで気持ちを表すシーンが多い。
清原が朝ドラに出演するのは、これが3作目。これまでに『あさが来た』(2015年)、『なつぞら』(2019年)に出演し、脇役ながら豊かな表情で視聴者を魅了した。
「2018年にはNHKの『透明なゆりかご』で連ドラ初主演を果たし、19才にして経験は充分。今回の朝ドラもその演技力を評価されての起用となりました」(NHK関係者)
モネの父親役を演じる内野聖陽(52才)も清原の演技力に太鼓判を押している。
「東日本大震災の津波が迫るシーンで、監督は清原さんに、叫んだり涙を流したりはせず、呆然とした表情をするように指示しました。それを聞いた清原さんはしばらく黙った後、『実際にやってみないとわからない……』と返したんです。その様子を見た内野さんは、言われるがまま演技するのではなく、自分で考えモネと自分自身を重ね合わせていく清原さんの姿を絶賛していました」(前出・NHK関係者)
若き天才女優ともいわれる清原。彼女は幼少期から才能の片鱗を見せていたという。通っていた大阪市内の幼稚園の担任教諭が振り返る。
「果耶ちゃんは歌や踊りがとても上手でした。年少組のとき、『とっとこハム太郎』の挿入歌を誰よりも張り切って踊っていたのを覚えています」