菅政権は、五輪後に、皇室を政権浮揚に繋げる一大計画を水面下で進めており、それが皇室にとって大きな不安材料となっているという。菅義偉・首相がぶちあげるのは「女性宮家」の創設だ。
6月16日、安定的な皇位継承策を議論している政府の有識者会議は、専門家の意見案をまとめた。
その会合で、座長の清家篤・慶應義塾大学名誉教授は今後の議論について、「まずは現在の皇位継承の流れを前提とし、その上で皇族数の確保のための方策を検討していきたい」と述べ、「男系男子」による皇位継承は変えずに女性宮家創設の議論を進める方向が決まった。政治ジャーナリスト・角谷浩一氏が語る。
「議論されているのは天皇になることを前提としない女性宮家の創設ですが、保守層や自民党内には女性宮家の創設が女性天皇や女系天皇につながるという反対論が強い。
しかし、菅首相はこうしたテーマにリベラルな考え方の持ち主です。LGBTQや夫婦別姓に理解を示し、女性宮家創設の必要性を認めている。総選挙前とあって自民党支持の保守層に配慮し、そうした発言を封印しているが、続投すれば、2期目の看板政策として世論調査で支持が高い女性宮家創設に向けた議論を提示していくはず。女性天皇は認めない前提は変えないでしょうが」
有識者ヒアリングに出席した歴史学者の古川隆久・日本大学教授も、「有識者会議は、『検討の結果を速やかに国会に報告する』のが役割で、一定の結論を出すことを求められているわけではないが、結論を導き出すために必要な議論はなされていたと思います」と語る。
※週刊ポスト2021年7月16・23日号