また、すべての輸入フルーツが検査されているわけではなく、食品衛生法違反で廃棄処分になっているのは氷山の一角です。市場に出回っている商品もかなり危ないと考えた方がいいでしょう。海外から輸入される珍しい果物はアレルギー発症リスクも懸念されるため、なるべく食べない方がいい」
50年近く続いてきたポストハーベスト農薬の問題は、新たな課題に直面している。
「多いのは、乾燥いちじくなどから検出される『アフラトキシン』という自然界最強の猛毒を持つカビで、肝臓がんを発生させます。輸出前に防カビ剤を散布しても、アフラトキシンが発生しているのです」(鈴木さん)
これは、ポストハーベスト農薬に防カビ剤を使い続けてきた結果、薬への耐性を備えたカビが生まれていることを示す。
「輸入フルーツに使われているポストハーベスト農薬は、耐性を持つカビが出現したことから、複数の種類の農薬が散布されるようになりました。80年代に比べて使用できる農薬の品目数も大幅に増えています」(郡司さん・以下同)
残留農薬に関する心配は、ますます複雑化するかもしれない。
皮をむいても農薬のリスクはある
リスクの高い輸入フルーツだが、しっかり水洗いし、皮をむけば安全だとされてきた。しかし最近、新たな事実がわかってきた。
「2年ほど前に『農民連食品分析センター』がりんごを用いて食品分析をした結果、皮から実の部分まで農薬が浸透していたことがわかりました。いくら洗ったり、きちんと皮をむいても安心とはいえないのです」
現在、輸入フルーツに使われたポストハーベスト農薬については、商品のパッケージに記載されたり、売り場に注意書きが添えられていることが多い。だが、必ずしもそれが危険なフルーツを見分ける手段とは言いきれない。
「アメリカは、農薬を記載することに反発しています。これまでのアメリカと日本の関係から見ても、近い将来、こういった表示がなくなることはほぼ間違いないでしょう」(鈴木さん・以下同)
食品基準が厳しいヨーロッパ産でも安心は出来ない。
「ヨーロッパは、自分の国で売る商品に関しては厳しいが、輸出するフルーツはそうとは限らない。自国の農家が使うことを禁じられた農薬を、日本に売っているという一面もあります。『危ないものは基準が緩い日本に持って行け』というのが世界の考えです」
フルーツは、農薬を使わずに育てることが非常に難しい。郡司さんは、果樹園などで行われている“フルーツ狩り”に苦言を呈する。