2年ぶりに名古屋開催となった大相撲7月場所では、6場所連続休場中だった横綱・白鵬が進退を懸けて土俵に立ち、大関・照ノ富士が綱取りに挑んでいる。新型コロナの感染拡大防止のための「東京開催」が続き、地方開催は大阪で行なわれた昨年3月の春場所以来、1年4か月ぶりとなる。声援自粛が求められるなか、贔屓にする力士の「四股名入りタオル」を掲げるのが“新しい観戦様式”だが、名古屋場所の会場ではそのタオルを巡る異変が見受けられた。
愛知県内でも「まん延防止重点措置」が続くなか、ドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)の観客数は収容人数の5割にあたる3800人が上限に設定されたが、2日目以降は会場を埋めたのは3割程度。5日目の段階でチケットの販売状況を見ても、完売しているのは千秋楽のみ。モンゴル出身の白鵬、照ノ富士が注目を集めるなか、日本出身力士たちの不甲斐なさも、観客の入りが芳しくない背景にあるのかもしれない。
明生、隆の勝、大栄翔など期待の若手が初日から黒星を重ね、大関・朝乃山はキャバクラ通いが発覚して出場停止中。残る2大関も、貴景勝が2日目の逸ノ城戦で首を負傷して休場に追い込まれ、正代は3日目に早くも土がついた。大関昇進の可能性があった関脇・高安も腰痛で2日目まで休場。序盤から三役以上の勝ちっぱなしは白鵬、照ノ富士の2人だけとなってしまった。
そうしたなか、会場内の売店には人気力士たちの四股名がプリントされたタオルが並べられている。会場内では、〈マスク着用をお願いします〉のプラカードを持った係員が常に巡回する厳戒態勢で、客席からの声援は自粛を求められているため、観客はタオルを胸の前に広げて応援しているのだ。
その販売コーナーを見ると、貴景勝、遠藤、照強、宇良、炎鵬、正代、琴ノ若らのタオル(600円)が並べられるなか、唯一、白鵬のタオルだけが4日目時点で〈入荷待ち〉になっていた。バスタオル(2000円)も同様に白鵬の四股名がプリントされたものだけが〈入荷待ち〉だ。