「1年5か月ぶりに外で飲んだビールのおいしいこと! 思わず次の日も足を運んでしまいました。特典が使えるのは1日1回ですが、期間中は回数無制限なので、続けて行っても大丈夫なんです」
顔をほころばせながら話すのは、6月中旬に2回目の新型コロナウイルスワクチンの接種を終えたという滋賀県在住の高田信子さん(仮名・78才)。“ワクチン接種済みの人は1割引き”という言葉に惹かれ、6月末に夫とふたり、居酒屋に繰り出した。
「ずっと外出を自粛していて、狭い家の中で“どうやってなるべく顔を合わせず、けんかせずに過ごすか”を考えていた毎日でしたが、お酒が入ると夫との会話も弾んで、久しぶりに本音で話せた気がします」(高田さん)
大規模接種も始まり、7月3日現在、全国で1回接種した人は3100万人、2回目を済ませた人も1700万人を超えている。抗体ができたことへの安心感に加え、高田さんのように“恩恵”にあずかる人たちが出始めている。
本誌・女性セブンは日本全国に広まりつつある“いまだけお得な”「ワクチン接種特典」を調査した。
1割引きが何度でも何人でも
営業時間の短縮や酒類の提供禁止などで、売り上げが激減している飲食業界。客足を戻すための起死回生の策として、「1杯無料サービス」「割引サービス」などのワクチン特典を実施している店は少なくない。
高田さんが利用した居酒屋のように「回数無制限」のクーポンを出している店も多いため、何度でも利用することができる。
九州を中心に和食レストラン「庄屋」や「定食屋 百菜 旬」など100店舗以上を展開するフードプラス・ホールディングスでは、接種した人だけでなく同伴者も含めた全員分の飲食代を1割引き、回数無制限という太っ腹なサービスを展開し、現在1日200組が利用している。
「“おばあちゃんのワクチン接種が終わったから”と、ご家族で利用されるケースや、接種したその足でいらっしゃるかたも多かった。接種状況は日々変わっているため、なるべく多くのかたに利用していただけるよう、当面の間続ける予定です」(同社常務取締役・萩原洋一郎さん)
全国チェーンの飲食店も足並みを揃える。居酒屋大手のワタミは「ミライザカ」「鳥メロ」などの店舗で、2回目の接種を終えた人にドリンク1杯を無料提供。「白木屋」「魚民」などを運営するモンテローザも2回接種者の最初のドリンクを1杯1円で販売している。