またも幼い命が犠牲になった。6月28日、千葉県八街市の路上で集団下校中の小学生の列にトラックが突っ込み、2人が死亡、3人が重傷を負った。現場にガードレールや路側帯はなかった。
「運転していた60代男性の呼気からは基準値を上回るアルコールが検出されており、県警は危険運転致死傷容疑で送検しました」(全国紙記者)
現場近くの国道409号では、2016年にも通学途中だった児童の列にトラックが突っ込み、4人が重軽傷を負っていた。
繰り返された事故に、通学路の安全確保を求める声が多くあがり、菅義偉首相は6月30日の関係閣僚会議で「通学路の総点検を改めて行なう」と表明した。
だが、同時にこんな意見も聞こえてくる。
「そもそも、集団登下校にはリスクもあるのではないか」
近年、集団登下校中の子供が暴走車に巻き込まれる事故が後を絶たない。
2011年に栃木県鹿沼市で集団登校中の小学生の列にクレーン車が突っ込み、6人が死亡。2012年には京都府亀岡市でも集団登校中の小学生と引率する保護者の列に軽自動車が突っ込み、3人が死亡した。
警察庁の統計によれば、小学生が歩行中に巻き込まれた交通事故の死亡者・重傷者は過去5年間で2734人。うち908人が登下校中の事故だ。
文部科学省の統計(2015年)では、全国小学校の集団登下校の実施率は63.1%。過去には有限会社「高野都市研究室」が東京・葛飾区内の小学校を対象に登下校の児童1000人あたりの事故件数を調べると、集団登下校を行なっている学校は6.2件、行なっていない学校は3.9件だった。この結果を受けて、同研究所は「集団の列で歩く子は前の子の背中やかかとばかり見て、ほとんど周りを見ていない」と指摘した。
交通事故調査解析事務所の熊谷宗徳代表は、こう話す。
「運転手は集団の方が目に付くので危険を回避しやすく、不審者による連れ去りを防ぐ面もある。安易に集団登下校をやめてしまうのは問題です」