卓球用品の総合メーカー・ニッタクは2020年に創業100周年のメモリアルイヤーを迎えた。しかしコロナ禍で東京五輪が延期となり、予定していた展示会も中止と、想定外の苦境に見舞われることになった。
商品企画部部長の松井潤一さんは「残念だった」と無念さをにじませながらも、「今までにないものを作って、業界に技術的なインパクトを与えたい」と用具の進化に情熱を傾ける。「弦楽器シリーズ」などを手がけた松井さん。コロナ禍による苦境も「よりよい商品を開発していく時間に」と気持ちを切り替えたという。
五輪は卓球業界の盛り上がりに直結する一大イベント。松井さんは「リオでの日本選手の活躍で卓球人口が増えたのは間違いない」と分析しながらも、開発者としての揺るがないスタンスをこのように語る。
「どんな状況であっても、選手たちは集中して練習に励んでいます。ニッタクとしても、選手が表舞台に立ったときに満足のいく用具でプレーしていただきたい。その一心で、今後も全力でサポートしていきます」
ニッタクのラケットやラバーの持ち味を最大限に引き出しているのが伊藤美誠選手だ。同社は幼少期からサポートを続けてきた。東京五輪での活躍を期待したい。
※週刊ポスト2021年7月16・23日号