サッポロ一番、ゴールデンカレー、ポッキーなど、いまに続くロングセラー商品が新発売されたのもこの年だった。そんな“イケイケの時代”に生まれ育ったことは、丙午の女性たちの前向きな人格形成を後押ししたようだ。
「高度経済成長期に生まれて、子供時代はずっと右肩上がりの経済を見てきたから、私たちの世代はどこか、『今日が悪くても、明日はよくなる』という思い込みがあります。そのため、根拠がないのに明るいところがあるんです」(西さん)
翻訳家として活躍する池田真紀子さん(54才)も丙午の女性だ。池田さんは東京で生まれ、5才のときに神奈川県川崎市の東急田園都市線沿いに引っ越した。いまではハイソな住宅地が広がることで知られる路線だが、1970年代はまだのどかな風景が広がっていたという。
「引っ越した当時は、自宅に虫の声が響くような緑に囲まれていて、ヘビが平然と道を横断していました。学習塾に通う子供が増えていた時代ですが、私の両親は子供を塾に通わせない方針だったので、学校が終わったら雑木林でクワガタやトカゲをひたすら捕まえていました。いまでは少ないかもしれませんが、50年前は、女の子も平気で虫捕りをしていたんですよ(笑い)」(池田さん)
経済成長と手つかずの自然が混在した1970年代。過渡期ともいえるこの時代には、よど号ハイジャック事件、あさま山荘事件など、後世に残る陰惨な事件もまた多数発生した。また沖縄返還、日中共同声明、日中平和友好条約など、日本の戦後の新たな歩みが見られた年代でもあった。
※女性セブン2021年7月22日号