ソニーの社長報酬が高額になった経緯
この上位10人のうち、昨年もトップ10に入っていたのは6人。その中で唯一の日本人が、吉田・ソニーG社長だ。昨年は10億1500万円で10位、そして今年は2億円以上増えて、日本人最上位の5位となった。
吉田氏が社長に就任したのは2018年。就任初年度で過去最高の純利益を出し、前3月期は2期ぶりに最高益を更新、純利益1兆円企業の仲間入りをした。それに伴い、業績連動報酬が増えたことで吉田氏のランクも大きく上がった。
ソニーGは社長報酬が高くなったのは2005年にハワード・ストリンガー氏がCEOに就任してからだ。
それまでのソニー(当時の社名)は、子会社のソニー・ピクチャーズ(米)のトップなどに対して高い報酬を払いながら、日本国内にいる本社役員の報酬はそれほど高くなかった。ところが、本体に外国人トップが誕生したことで一気に変わった。ストリンガー氏にしてみれば、世界企業ソニーのトップなら、欧米のグローバル企業のトップと同様の報酬を得ることがむしろ当然だった。
1億円以上の役員報酬の開示が義務付けられて以降のストリンガー氏の報酬を見ると、2009年度8億1700万円、2010年度8億6300万円、2011年度4億4900万円となる。さらに2008年度には4億1000万円を受け取っており、計25億3900万円。
問題はこの4年間のソニーの業績で、毎年、巨額の赤字を出し続けたことだ。最終赤字の合計は8559億円となる。これだけの赤字を出しながら高額報酬を受け取り続けるストリンガー氏には社内外から批判された。
結局ストリンガー氏は2012年に解任されるが、役員報酬の仕組みは存続した。それが現社長の吉田氏の日本人最高報酬にもつながっている。