女優の中村静香(32)が、脚本家つかこうへい(享年62)の名作に主演する。7月28日から東京・池袋の東京芸術劇場シアターウエストで、たやのりょう一座の舞台「飛龍伝」が、新型コロナウイルス禍による1年3か月の延期を経て、上演される。出演する中村が、都内でのけいこ中にNEWSポストセブンのインタビューに応えて、意気込みを語った。
──今作では、1970年代の全共闘の学生運動に身を捧げた女学生の神林美智子を演じます。
「1960年の安保闘争で国家権力との戦いの中で亡くなった、実在した女性学生運動家の樺美智子さんがモデルです。調べてみたら、とてもたくましい女性でした」
──つか作品に出演するのは、「蒲田行進曲」、「ストリッパー物語」に続き3作目となります。
「女性って、ときには男性よりたくましい瞬間がありますよね。この役は、全共闘の委員長と警察の機動隊隊長とのいびつな三角関係の中で、母性もリーダーシップも持ち合わせて生きていく女性。『蒲田行進曲』のヒロイン・小夏のようにかわいらしい女性ではなく、たくましさを求められています。私にとっても新境地となりそうです」
この舞台では、コロナ禍の現代と同じく、世の中が日常と未来に大きな不安を抱えていた時代の、若者たちの熱い生き様が描かれる。座長の田谷野亮(34)はこう語る。
「現代では政府やコロナ対策に不満や理不尽さを感じても、ネット上の掲示板やSNSに書き込むぐらいですが、当時は学生たちが国と直接やり合っていました。その方法の良し悪しは別にして、その熱狂、熱い生き様を、舞台で感じ取っていただけると思います。
お見せしたいのは、思想などではなくて、人間が持つ熱さや美しさ、そして脆さやはかなさ。効率化された芸術系の舞台が多い世の中ですが、私たちは“人ってこんなにも熱くなれるんだ、愛し合えるんだ”ということを直球でお届けしたいんです。観終わったお客さんたちには、その熱さにほだされて、それぞれの大切な人に無性に会いたくなってもらえたらと願っています」