「『報道ステーション』は民放ニュース番組の中でも、政権と距離を置く報道姿勢で知られており、大越氏の起用に違和感はありません。過去のキャスターの久米宏や古舘伊知郎のようなインパクトには乏しいですが、NHK出身というブランド力は強く、“安心して見られる”という信頼感は大きい。少なくとも、現在の小木恭平アナや富川悠太アナより視聴率が落ちる要素は少ないように思われます。
課題はパートナーです。徳永有美アナは未だに過去のスキャンダルのイメージが強い上、ベテランだがアナウンス力に課題がある。順当なのは、現在木曜と金曜を担当する森川夕貴アナ。あるいは、局内から起用するなら森葉子アナか林美沙希アナあたりでしょうか。今さらながら、小川彩佳アナの退社が悔やまれます。NHKから井上あさひアナや桑子真帆アナあたりを引き抜ければ話題になるのですが……」(キー局関係者)
もう何年も“テレビ離れ”が叫ばれているが、コロナ禍でステイホームする人が増えたこともあってニュース番組はのきなみ好視聴率を獲得。『報道ステーション』も10%以上を記録する日が多く、好調だ。
ベテラン芸能記者の石田春男氏は、大越氏の成功のカギとして、1つの傾向を指摘する。
「NHK出身という点で、参考とすべきは池上彰さんでしょう。池上さんが貫く“分かりやすく伝える”“言いたいことは言い、聞きたいことは聞く”というスタイルは、経験豊富な大越氏の得意技のはず。民放に移ったからといって、これまでのスタイルを変える必要はありません。
大越氏よりも若手ですが、『news every.』(日本テレビ)の藤井貴彦アナの成功も参考になりそうです。羽鳥慎一アナと同期の藤井アナは、ずっと羽鳥アナの陰に隠れてきましたが、コロナ禍でニュース番組への注目度が高まるなか、実直な進行ぶりで俄然評価が上昇。『news every.』は、もともと夕方のニュース番組戦争のトップを走っていましたが、今や日によっては15%前後の視聴率を取る“お化け番組”になりました。
藤井アナの人気ぶりを見ていると、世間は男性アナ・キャスターに対し、個性をグイグイと打ち出すよりも、伝えるべきことを正しく伝え、視聴者に寄り添うことを求めているように思えます。大越氏も“色”を出しすぎないようにした方が、長い目で見れば評価に繋がると思いますが、そこまでテレ朝が待てるかどうかがポイントでしょう」(石田氏)
同業他社への“仁義なき引越し”は吉と出るか凶と出るか?