中国では昨年末から北京や上海、広州など大都市部で大規模な停電が起きるなど、電力不足が発生している。5月に入って広東省全域や海南省など南部地区で、6月には山東省や安徽省、江西省などにも拡大し、全国的に慢性的な電力不足陥っている。このため、中国に進出している日本企業の工場でも、前夜に「明日停電する」と急な連絡を受けた企業が複数あるほか、電力不足による供給調整を理由に週1~2日の操業停止を要求されている。
日本貿易振興会(JETRO=ジェトロ)広州事務所によると、電力不足による電力調整が日系企業の経済活動にも影響が及ぶ事例もあるという。
広州市花都区に進出する日系自動車部品メーカーは市供電局から「電力供給優先保障企業の28社に対し、本日から広州市電力ピーク緊急調整措置を実施する」という通知を受けた。同社は電力供給の優先企業だが、緊急通知を受けた20分後に電力使用量を211キロワット以下に引き下げることと、緩和許可通知を受けるまで通常電力に戻してはならないとの内容だった。非優先企業に対しては週1日の休業要請も出されているという。
東莞市の石排鎮、高ホ鎮(鎮は日本の町に相当)などでも、5月に入って企業に週1~2日の操業停止を要求し始めた。日系企業の中には、前日の晩になって翌日の停電を言い渡されたケースや、4月末に5月から週2日の休業要請を受けたケースもある。11日に東莞進出日系企業から寄せられた情報だけでも、休業要請を受けた企業は10社を超え、繁忙期の企業では「自社の発電機で対応する予定」としている。
突然の停電通知と休業要請について、日系企業からは「生産計画調整が可能な1週間前には通知をもらいたい」「週1回の操業停止命令ならば、自社で停止日を指定させてほしい」といった意見が寄せられているという。
この原因について、中国の経済政策全般を統括する中国国家発展改革委員会のスポークスマンは「新型コロナウイルスの影響が下火になり、全国的に鉱工業生産が急速に回復したことや、季節的に夏季の入り口に入り気温が高くなってきていることによる電力消費量の増加に加え、水不足による水力発電量の不足が重なった」などとしている。