死をも覚悟した舌がんを乗り越え、次なる目標はデビュー40周年単独ライブだという堀ちえみさん(54才)。彼女と出会って40年というコラムニストで放送作家の山田美保子さんが、「花の82年組」誕生秘話から、いまあらためて実感する“歌への想い”まで、じっくりと聞いた。
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病気をする前は、ここまで歌と向き合っていなかった
山田:まず最初に驚いたことを言ってもいいですか? また滑舌がよくなっていらっしゃる! 聞き取れない言葉がひとつもない!
堀:ありがとうございます。お目にかかるのは2020年2月の『ワールドキャンサーデー2020』のとき以来ですよね? 山田サンには、その半年程前、(著書)『Stage For〜』(扶桑社刊)のサイン会のときにも来ていただいたから、変化がわかるんですね、きっと。
山田:あのときも、100人以上のファンの皆さんと話されたから、先頭に並ばれたかたと最後のかたとでは、言葉の明確さが違っていました。しゃべることが最大のリハビリですか?
堀:ボイトレもしています。移植手術で分厚くなってしまった新しい舌に形状記憶させているところです。でも前より音域は広がったんですよ。アイドル時代は禁止されていたファルセットも身につきました。
山田:それは素晴らしい。
堀:努力しても前に進めなかったらあきらめたり落ち込んだりしていたかもしれないけれど、やればやるだけ必ず成果につながるんです。だったら、やればいい。そう思ったら簡単だなって。1週間まとめてやるよりも毎日10分でもいいからやった方が声は出ますね。
いまは舌の働きや動き、仕組みなどを自分で考えながら声を出してます。あ、こうやってコントロールすればいいんだ……って、歌番組でも歌っている人の舌ばっかり見ちゃいますね(笑い)。病気をする前は、ここまで歌と向き合っていなかったかもしれません。
山田:デビューの頃から、ちえみチャンががんばり屋さんだということはよくわかっていたけれど、あらためて、本当にすごい人なんだなって。
堀:来年で歌手デビュー40周年だから、山田サンとも、もう40年。覚えてますよ、デビュー前、TBSラジオのブースで同期の(松本)伊代チャン(56才)や(早見)優チャン(54才)と一緒に呼んでいただいて、1人ずつ自己紹介したり自己PRしたりしたことを。
山田:「花の82年組」ね。シブがき隊や石川秀美チャン(55才)や小泉今日子チャン(55才)や中森明菜チャン(56才)。あの頃と同じくチャンづけで呼んじゃいますけど(笑い)、まさに「花の〜」よね。
堀:違うんです。私たちは、2年先輩に(松田)聖子サン(59才)、(河合)奈保子サン(57才)、(柏原)芳恵(旧名・よしえ)サン(55才)、田原俊彦サン(60才)という遠い存在の大スターさんたちがいらして、そのかたたちに憧れた人がオーディションにワーッて集まっちゃって、そこから選ばれたのが「82年組」。
単体で偉大なる先輩たちに追いつくのはとても無理だから、所属事務所やレコード会社さんがそれぞれの“垣根”を越えて“ワンチーム”として売り出しをかけたんだって聞きました。歌番組でも、『明星』や『平凡』、『近代映画』などの取材でもいつも束になっていたのは、そのせいですね。