NHK連続テレビ小説『スカーレット』で幅広い層にその名と実力を知らしめ、以降出演作が絶えない松下洸平(34才)。最近は、バラエティ番組『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ系)の人気コーナー「グルメチキンレース ゴチになります!」への出演でも話題を呼んでいる。そんな松下が挑んだのが、新宿・紀伊國屋ホールにて上演された2人芝居『母と暮せば』。SNSなどの口コミには「松下洸平の役者魂を改めて感じた」といった絶賛の声が多く寄せられた。観る人を惹きつける松下の魅力について、映画や演劇に詳しいライターの折田侑駿さんが解説する。
* * *
ここ数年で一気に知名度を上げた松下は、実は俳優としてのキャリアは既に10年を超えている。これまでにかなりの本数のテレビドラマに出演し、音楽劇をはじめとする舞台作品にも数多く出演してきた、いわゆる“知る人ぞ知る”存在だったのだが、幅広い視聴者層の注目を集める朝ドラでの好演によって、その実力を誰もが知ることとなった。
朝ドラ出演後も、綾野剛(39才)と星野源(40才)のダブル主演が話題を呼んだドラマ『MIU404』(TBS系)の第2話にゲスト出演し、物語の核となる人物を妙演。ドラマの盛り上がりに一役買った。その後も、『#リモラブ 〜普通の恋は邪道〜』(日本テレビ系)に『知ってるワイフ』(フジテレビ系)と、地上波の連続ドラマに次々とレギュラー出演している。『スカーレット』が彼の俳優人生の転機となったのは疑いようのない事実だろう。
そんな『スカーレット』は、男性ばかりの陶芸の世界に飛び込み奮闘するヒロインの女性陶芸家・川原喜美子を戸田恵梨香(32才)が演じ、好評を博した作品だ。本作で松下が演じたのは、喜美子の相手役である八郎。マジメな性格の持ち主で、誰に対しても見せる誠実さが好印象な人物だった。松下は、セリフの言葉尻やふとした瞬間の視線の動きなど、八郎というキャラクターの一挙手一投足まで丁寧に命を吹き込んでいたと思う。八郎役と松下の素朴さとマジメさ(丁寧さ)が相乗効果を生み出し、SNS上では「#八郎沼」が登場するほどの盛り上がりを見せた。それほど、八郎=松下洸平の魅力にハマる視聴者が続出したのだ。