国内

永田町の「コソクリンピック」 メダルを手にするのは誰か

(写真/時事通信社)

パワハラ体質が明らかに(西村康稔経済再生担当相・時事通信フォト)

 さまざまな思いがよぎる五輪である。大人力について日々研究を重ねるコラムニストの石原壮一郎氏が考察した。

 * * *
 山のような懸案と反対の声を振り払いつつ、東京オリンピック・パラリンピックが開催されようとしています。いざ始まったらどんな雰囲気になるのでしょうか。無事に最後まで行われたとしても、土壇場で中止という衝撃の展開になったとしても、間違いなく「歴史に残る五輪」にはなってくれます。せっかくなので、しっかり見届けましょう。

 それはさておき政治の世界では、オリンピックよりひと足先に、姑息さを競う「コソクリンピック」が絶賛開催中です。常に開催されているとも言えますが、近づくオリンピックに敬意を表してでしょうか、ここ最近の盛り上がりっぷりはとくに目が離せません。独断で恐縮ではありますが、まずは決勝にエントリーされた選手をご紹介しましょう。

 第1のコース、西村康稔経済再生担当相。酒の販売業者に対して、銀行などに「酒を出してる店に酒を売らないように圧力をかけろ」と“要請”した問題で、すっかり時の人になっています。批判を受けて「(融資を制限するといった趣旨ではなく)いろんな機会を通じて働きかけていただければということだ」と白々しく弁明しました。

 また、東京都が月次支援金を申請する際の「誓約書」にも同様の脅しが盛り込まれた文言が残っていると、国会で野党議員が指摘。それに対して「都道府県の様々な判断で色々な措置が取られているが、初めて見た」と、さも東京都が勝手にやったことのように答えました。しかし、もともとは国が6月に依頼したことであり、本当に知らなかったとしたら無責任だし、知っていてそう言ったとしたら念入りに姑息です。

 第2のコース、菅義偉首相。上の「要請問題」の騒ぎが大きくなって、西村大臣の発言について尋ねられた菅首相は、最初は「承知していない」と冷たく突き放します。しかし、事前に菅首相も出席していた打ち合わせで、「飲食店対策のための関係機関として金融機関」と書かれた資料が配られ、説明もされていたことがバレてしまいました。

 それが明らかになると「具体的な内容について議論はしてはいない」と、本人や周囲の説明が変わります。ということは、議論するまでもなく「それはいいね」という気持ちで賛成したと言えなくもありません。そもそもトップとして「私は知らなかった」は言ってはいけないセリフですが、姑息にお座なりな謝罪で済ませようとしています。

 東京五輪に関しても、記者会見などで何を聞かれても「全人類の努力と英知で難局を乗り越えていけることを東京から発信したい」「安心安全な大会を成功させ、歴史に残る大会を実現したい」と抽象的な決意を述べるばかりで、具体的に何をどうするのかは頑として答えません。なかなか筋金入りの姑息っぷりです。

 第3のコース、麻生太郎財務大臣。「要請問題」への批判が高まったあとで、麻生大臣は「途中段階の報告は受けていましたよ。私の方は何か違うんじゃないかと思ったけど、放っておけ。そういうものは放っておけばいいんだ」と発言しました。結局は容認したわけですが、自分に責任はないと強調しているじつに姑息な態度です。

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン