「人間・門馬敬治」をさらけ出す生活
原貢氏の考えもあり、東海大相模の監督は代々、グラウンドのセンター後方にある一軒家に住むことが伝統になっている(2020年冬から改装中。現在は選手とともに寮に住む)。学校の敷地内であり、併設する野球部の寮とは徒歩10歩の距離だ。
「おやじさんから直接聞いたわけではないですが、『24時間ともに生活して、人間・門馬敬冶をさらけ出す』『子どもたちのいろんな部分を見る』という意味だと捉えています」
家族ももちろん一緒に住む。門馬監督には長男・長女・次男の3人の子どもがいるが、小さい頃は野球部の選手をお兄ちゃんのように思い、寮の周りで遊ぶこともあった。長男・大は東海大相模から東海大に進み、現在は硬式野球部の主将。長女・花は東海大相模で女子マネージャーを務め、次男・功は親子鷹で今春センバツを制した。
門馬監督の奥さんの誕生日が七夕ということもあり、七夕が近づくと、自宅の前には短冊を付けた笹が飾られる。部員でお金を出し合って、誕生日プレゼントを渡すのも恒例行事だ。そのときは父である監督がカメラマンになり、笑顔の写真をパチリ。学校の敷地内に自宅があるからこそ、素を見せることができる。
「選手たちが、門馬がどういう人間なのか語れるようになれば強いと思っています」
恩師は2014年5月29日、病気で他界した。監督室にはユニホーム姿の写真を飾り、グラウンドの一塁側には功績を称える石碑を立てた。いついかなるときも、厳しくも温かい目で見守られている。