女優で「平成のグラビア女王」と呼ばれたMEGUMIを、鬼才・竹中直人が15年ぶりに密着撮影した。竹中がグラビアに合わせて書き下ろしたファンタジー「六月の奇子」とともにお届けする。
* * *
「……夢を見てた。
白日夢…?
白昼夢…?
どっちの音が良いかしら…
私がね橋を歩いてるの。
車も人も誰もいない大きな大きな橋。
その向こうには巨大な東京タワーが聳えたってる…
それも真っ赤な東京タワー。
そうしたらね、ポーンポーンって何かが弾む音が聞こえてきて…
何の音…???
って思っていると、東京タワーの方からオレンジ色の球が何度もジャンプしながら私の方へだんだん近づいてくるの…」
奇子はじっとわたしを見た。
遠くサイレンが聞こえてくる。サイレンはだんだん近づいて…
そして止まった。
奇子は静かに立ち上がり窓を開けた。
淡い風がカーテンをゆらす。
「どうでもいいんでしょう私の夢の話なんて…」