ものごとには多面性がある、そう実感させられる夏である。五輪しかり、ワクチンしかり。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘した。
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ZOZO創業者・前澤友作氏との熱愛で注目を集め、芸能界からのおせっかいな助言も無視してつっ走った。その当時老舗プロダクション・オスカーの所属だったけれど周囲からのプレッシャーにも影響されることなく我が道を貫いた。言ってみればアッパレ。
一時は前澤氏の宇宙旅行にまで同行しそうな勢いだった剛力彩芽さんですが、今は地球に留まる判断をしたもよう。恋人とは一度復縁したけれど今年3月話し合いの末、2度目の別れを剛力さん自ら告げたとか。
そしていよいよ新たな一歩へ。オスカーも退社し個人事務所を設立。独立後、初のドラマ主演に臨んでいます。『彼女のウラ世界』(フジテレビ系月曜深夜0:25 FOD・ひかりTVでも配信中)で剛力さんはヒロインの近藤明子役を演じ、奇妙で謎めいた存在感を存分に発揮しています。
その物語は……テレビディレクター・西村敏郎(三浦貴大)とマッチングアプリで知り合った近藤明子(剛力)。
3年付き合った明子にプロポーズした敏郎だが、翌日明子は忽然と姿を消す。「僕は、彼女のことをなにも知らなかった」と焦る敏郎。彼女の残した服や鞄、インスタグラムなどから情報をかき集めようと試み足跡を追っていくと、見えなかった彼女のもう一つの姿が見えてくる。なぜ婚約指輪を置いて去ったのか? なぜ正体を隠していたのか? やがて追う側の男の本性も顕わになってきて……。というスリリングな構成。
剛力さん演じる明子は、一見すると素朴で男を陰で支える慎ましやかな女性。しかし、ちょっと何を考えているのかわからない、本音が見えないところがあってその謎めいた雰囲気も剛力さんにぴったり。
喜怒哀楽の表情を極端には出さないクールさ。そもそも剛力さんは手足が長くモデル系体型。女性性をアピールするグラマラスとは対照的な、いわば中性的魅力があって、見方によっては個性的爬虫類系。フラットで体温低そうだけれど、実は秘めたる生命力と意志があり芯がある。
振り返れば、年上経営者との熱愛から老舗事務所対策までみな自分軸で対処してきた。なかなか若い女優には難しいことでしょう。自身のインスタで前澤氏との交際中に「役者としてプライベートを見せることがどうなのか、という考えもありますが、自分の身の周りに起こる出来事は自分のお芝居とも表裏一体で、人間的な成長にとっても大切な要素です」(2018年7月22日)とまで言い切った女優魂もある。その剛力さんの完全フリー後初主演作に注目ですが、物語の「構成」がまたまたユニークです。