農林水産省の調査によれば、朝食を抜く人の割合は年を追うごとに増加しており、特にその比率が高い20~30代では25%が「ほぼ毎日食べない」と回答している。しかしそれは「不健康」への一本道。では、一日の始まりは何を口にすればうまくいくのか。食と健康の専門家たちが回答する。
汁物とワンセットで供される炭水化物類は朝食に適していると医学博士の福田千晶さんは解説する。
「朝食に炭水化物はマストです。速やかに脳のエネルギー源になるのは、ご飯やパンなどに含まれる炭水化物由来のブドウ糖。特にご飯は粒状で噛み応えもあるため、咀嚼回数も増えて内臓や脳が活発に動き始めます」
ダイエット目的や健康志向によって糖質を減らすために、「おかずだけにして米やパンは食べない」という人もいるが、管理栄養士の片村優美さんはこうした風潮に警鐘を鳴らす。
「糖質不足の状態では脳がうまく機能せず、集中力が低下したり、眠気が出やすくなったりします。学業や仕事に専念し、精力的に行動するためにも糖質は欠かせません」
なかでも、「玄米」には多くの専門家たちから熱視線が集まった。自身も食卓に玄米を取り入れることが多いという、内科医の谷本哲也さんがその魅力を解説する。
「玄米は精製されていないため、白いご飯やパンよりも血糖値が上がりにくい。ビタミンB群やミネラルなどの栄養素や食物繊維もほかの炭水化物よりも豊富で、肥満や動脈硬化の予防にも有効です」
汁物と炭水化物の「最強朝食セット」に、デザートとして加えたいのが果物だ。とりわけ「りんご」が持つ健康効果には多くの専門家が注目している。内科医の大西睦子さんが言う。
「りんごにはがんや感染症から体を守ってくれる作用のあるファイトケミカルをはじめとして、ビタミンや食物繊維などさまざまな栄養素が含まれている。腸内環境を整えてくれるだけでなく、高血圧や脳卒中、心臓病、糖尿病、がんなどあらゆる病気の罹患リスクを減らすといわれています」