国内

宮内庁が官邸に不信感 天皇陛下の五輪開会式リモート参加の可能性あった

開会宣言の文言変更の裏には、陛下の強いご意向があったのだろう(7月、東京・新宿区=共同通信社)

開会宣言の文言変更の裏には、陛下の強いご意向があったのだろう(7月、東京・新宿区=共同通信社)

 最高気温は34℃。夜になっても蒸し暑さの残るその日、東京・国立競技場の貴賓席「プレジデンシャル・ボックス」で、天皇陛下は約4時間、東京五輪の開会式を見守られていた。冷房もないボックスの中、御椅子の背もたれから体を離し、ピンと背筋を伸ばされていた。そのお隣に雅子さまはいらっしゃらない。隣に座ったのは、菅義偉首相だ。“事件”が起きたのは、開会式の終盤、陛下が開会宣言をされたとき。

 IOCのバッハ会長の紹介を受け、マイクの前に立った陛下が宣言を始めても、隣の菅首相はぼんやりと陛下とは別の方向を見やったまま。その奥の小池百合子都知事が目配せしながら席を立つと、それに気づいた菅首相も慌てたように立ち上がった。その様子は日本全国、いや、全世界に生中継された。

「今回の騒動には“不敬”という声まであがっています。お粗末だったのは、陛下のおことばの途中で立ち上がったこと。座って聞くのであれば最後まで座っていればよかったんです。陛下の宣言を立ち上がって聞くのか、それとも座って聞くのか、それすらコンセンサスが取れていなかったのでしょう。組織委員会や官邸側が真摯な気持ちで開会式に陛下をお迎えするつもりだったのか疑いたくなります」(皇室ジャーナリスト)

 組織委員会は開会式から4日後の27日、一連の騒動について、起立を促す場内アナウンスが流れなかったとし、「混乱が生じ、申し訳ない」と陳謝した。しかし、ある政治ジャーナリストは「菅首相が皇室を軽んじていることの証左だ」と話す。

「菅首相は皇室への思い入れの深い人ではないといわれています。東京五輪にしても、1年延期という前代未聞のことがあったのだから、『名誉総裁』を務められる天皇陛下や宮内庁にはとりわけ、方針や進捗を細やかに報告しつつ、調整しながら進めるべきでした。

 しかし、陛下のご意見を賜るどころか、まったく説明もせず、いわば“放置”してきました。配慮のカケラもなかった。だから、開幕直前までゴタゴタが続き、“陛下が開会式のスタジアムにいらっしゃらないかもしれない”という緊急事態まで引き起こしたのです」

 波乱の幕開けとなった東京五輪。その日に至るまで、陛下側と菅官邸との間では信じられないような暗闘劇が繰り広げられていた。

なぜあんなものが出るんだ

「亀裂」が表面化したのは、五輪開幕1か月前の6月24日、西村泰彦宮内庁長官の「拝察」発言だった。西村長官は五輪開催について、陛下が「新型コロナウイルスの感染拡大につながらないか、ご懸念されていると拝察している」と発言し、反響が広がった。実は、官邸にとって寝耳に水だったという。

関連記事

トピックス

三笠宮妃百合子さま(時事通信フォト)
百合子さま逝去で“三笠宮家当主”をめぐる議論再燃か 喪主を務める彬子さまと母・信子さまと間には深い溝
女性セブン
氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
公益通報されていた世耕弘成・前党参院幹事長(時事通信フォト)
【スクープ】世耕弘成氏、自らが理事長を務める近畿大学で公益通報されていた 教職員組合が「大学を自身の政治活動に利用、私物化している」と告発
週刊ポスト
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
「SUNTORYドリンクスマイルBAR」
《忘年会シーズンにこそ適正飲酒を》サントリーの新たな取り組み 自分に合った “飲み“の楽しさの発見につながる「ドリンク スマイル」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
NEWSポストセブン