芸能

ジュディ・オング 筒美京平さんの斬新メロディ『魅せられて』は一生挑戦

ジュディ・オングが語る筒美京平さんとの思い出

ジュディ・オングが語る筒美京平さんとの思い出

 数多くのヒット曲を手掛けてきた作曲家・筒美京平さん。歌い手は筒美さんの曲を聞いて、何を感じていたのだろうか。累計200万枚の大ヒット曲『魅せられて』(1979年)を歌ったジュディ・オングが、曲との出会いと、筒美さんとの思い出について語った。

 * * *
 1960年代、私がティーンエージャーの頃から筒美京平先生に作品をご提供いただいて、レッスンも受けていました。先生は「ジュディの声はアルトがいい」とおっしゃっていたので、低いところをグッと狙ってくるような曲が多かったですね。

 そんな日本コロムビア時代から8年半のブランクがあり、ワコールのCMソングとして先生が作ってくださったのが『魅せられて』(1979年)です。作詞は阿木燿子さん。上がってきた譜面を見たら、なんと16分音符一つひとつに歌詞が乗っていて、動きようがない難しい曲。想像を絶するところを音が行ったり来たりする、斬新なメロディでした。

 レコーディングの時に、〈好きな男の腕の中でも〉の箇所が、歌詞が多くて何度歌っても出遅れてしまったんです。するとミキサー室から先生が来られて、「サンバの乗りにしたらリズムに乗れるよ」とご自分の膝を手で叩いてリズムを聴かせてくださって。それでうまく乗れました。地声と裏声を自然に切り替えるのも難しかったですね。体に入りこむまで歌いこみました。

 そんな調子で歌に集中していたので、ヒットするかどうかについては考えもしなかったです。ただ、国内外の歌手が参加する東京音楽祭で、司会者が私の曲を紹介した時、会場の武道館が揺れるような歓声が客席から上がり、「ああ、この曲、売れてるんだ」って初めて実感しました。

 先生の曲はどれも心地よいんです。高級なカシミアの上を心が撫でていくような旋律です。でも歌手が自然に歌わないと心地よくは聴こえない。だからいまでも『魅せられて』をステージで歌う時は、2週間前から練習をして当日は自宅で一人リサイタルを2~3回行なって舞台に出ます。42年間途切れることなく、回数がわからないほど歌ってきましたが、先生からプレゼントされた、一生チャレンジの曲だと思っています。

【プロフィール】
ジュディ・オング(じゅでぃ・おんぐ)/1950年生まれ、台湾出身。11歳で女優、16歳で歌手デビュー。数々のヒットを飛ばし、『魅せられて』は200万枚の大ヒットとなり日本レコード大賞受賞。

取材・文/濱口英樹

※週刊ポスト2021年8月13日号

関連記事

トピックス

大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
会見中、涙を拭う尼僧の叡敦(えいちょう)氏
【天台宗僧侶の性加害告発】フジテレビと同じ構造の問題ながら解決へ前進しない理由とは 被害女性への聞き取りも第三者の検証もなく、加害住職の「僧籍剥奪せず」を判断
NEWSポストセブン
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
フジテレビが今やるべきは、新番組『怒っていいとも!』を作ることではないか
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン
ゴールデンタイムでの地上波冠番組がスタートするSixTONES
ゴールデンタイムで冠番組スタートのSixTONES メンバー個々のキャラが確立、あらゆるジャンルで高評価…「国民的グループ」へと開花する春
女性セブン
中居正広氏とフジテレビ社屋(時事通信フォト)
【被害女性Aさん フジ問題で独占告白】「理不尽な思いをしている方がたくさん…」彼女はいま何を思い、何を求めるのか
週刊ポスト
食道がんであることを公表した石橋貴明、元妻の鈴木保奈美は沈黙を貫いている(左/Instagramより)
《食道がん公表のとんねるず・石橋貴明(63)》社長と所属女優として沈黙貫く元妻の鈴木保奈美との距離感、長女との確執乗り越え…「初孫抱いて見せていた笑顔」
NEWSポストセブン
生活を“ふつう”に送りたいだけなのに(写真/イメージマート)
【パニックで頬を何度も殴り…】発達障害の女子高生に「生徒や教員の安心が確保できない」と自主退学を勧告、《合理的配慮》の限界とは
NEWSポストセブン
5人での再始動にファンからは歓喜の声が上がった
《RIP SLYMEが5人で再始動》“雪解け”匂わすツーショット写真と、ファンを熱狂させた“フライング投稿”「ボタンのかけ違いがあった事に気付かされました」
NEWSポストセブン
中居正広の私服姿(2020年)
《白髪姿の中居正広氏》性暴力認定の直前に訪問していた一級建築士事務所が請け負う「オフィスビル内装設計」の引退後
NEWSポストセブン
これまで以上にすぐ球場を出るようになったという大谷翔平(写真/AFLO)
大谷翔平、“パパになる準備”は抜かりなし 産休制度を活用し真美子夫人の出産に立ち会いへ セレブ産院の育児講習会でおむつ替えや沐浴を猛特訓か
女性セブン
ネズミ混入トラブルを受けて24時間営業を取りやめに
《ゴキブリ・ネズミ問題で休業中》「すき家」24時間営業取りやめ 現役クルーが証言していた「こんなに汚かったのか」驚きの声
NEWSポストセブン